ミミズの大量死に集まるアリを観察してみた 砂かけや略奪など
暑くなると、コンクリートやレンガの道でミミズが大量に死んでいる日があるのをご存知の方は多いと思います。我が家の周辺では一昨日にも大量死があったようです。
わが家の周辺では、ミミズの死骸にはアリが集まってきて、いつの間にか掃除をしなくても死骸がなくなります。餌として栄養を摂取するために集まるわけですが、アリの種類によってそのやり方がさまざまだということに、今さらながら気がつきました(^^;
アリの種類別にミミズの処理方法を記録しました。(7月10~11日)
ミミズの大量死はアリの性質の違いが比較できるちょうどいいサンプルでした。ついでに見かけたほかの獲物に集まるアリたちも登場します。
<注意>今回は、ミミズの死骸やアリの集団のマクロ写真がたくさん続きます。苦手な方は、ここでページをお閉じください。
トビイロシワアリA群
▼ 朝10時、レンガ道の上に唐突な茶色い塊。シマトネリコから落ちたガクのようなものがきれいに丸く固められています。
▼ 上の塊をよく見ると、干からびたミミズがちょっと見えます。
▼ ガクのようなものをどかしたら、ミミズの死骸が現れました。アリがもっとたくさん隠れているのかと思ったら、ほとんどいませんでした。
▼ トビイロシワアリを拡大。
▼ ミミズに噛みついているトビイロシワアリたちもいます。写真は撮れませんでしたが、慌ててミミズにガクのようなものを載せようとするアリたちもいました。
▼ その日の夜11時、もう一度覗いてみました。ミミズはガクのようなものをまた載せられて、姿が見えず、朝よりもアリの数が増えていました。
▼ 次の日の朝7時半、かぶせてあるものが増えています。シマトネリコのガク以外に、微細な小石や芝の枯れたものも載せられています。写真ではわかりにくいですが、前夜よりもこんもりと富士山状に積み上げてありました。
この後かぶせてあるものを素手でどかしてみましたが、前日よりもしっとりと湿っていました。前日から雨は降っていません。夜露? アリの唾液?蟻酸?
▼ 朝7時半の段階で、ガクのようなものをせっせと運んでいるアリが何匹もいました。もっと積み上げたいらしい…。
▼ 同じく7時半。かぶせ物を退かしてみると、ミミズは昨日の昼間とほぼ変わらない大きさで、今回はたくさんのアリたちがかぶりついていました。
トビイロシワアリA群考察
- 獲物にまず何かをかぶせて隠そうとする。(トビイロシワアリの砂かけは有名)
- 直射日光が当たる時間帯は活発には活動しないらしい。
- 日中はいったん活動を抑えめにして、暗くなってからまた活動を再開する。
- かぶせ物の中に隠れながら獲物をかじりとっている。
トビイロシワアリB群
▼ 夜11時ごろ、昼間はは何もなかったはずのレンガの道に、アリジゴクの巣のようなすり鉢型の砂の塊ができていました。アリの姿もたくさん見られます。 とても活発に動いています。
▼ 上の塊の中心部分。真ん中が凹んでいて、少しだけミミズの姿が見えます。
▼ 同じく夜11時。砂を退かせてみたらても、アリはたくさんいましたがミミズの姿はほとんどありませんでした。赤い丸をつけた小さい破片が二つだけ。もう自分たちの巣に運び去った後なのでしょうか?
▼ 翌日の朝7時半。崩したはずの砂は、昨日よりも起伏のあるすり鉢状に戻されていました。
▼ かぶせ物を退かしてみると、ミミズの小さい破片にたくさんのアリがかぶりついています。
トビイロシワアリB群考察
- エサはそのまま巣穴に持ち帰らず、個々がかぶりついて持ち帰る。
- 小さいミミズの欠片をくわえて運ぶ姿は見られなかった。内臓に収めて巣に戻り、幼虫や仲間に吐き戻しをしているのかもしれない?
- トビイロシワアリのかぶせ物で一般的なのが今回のような砂粒。
トビイロシワアリC群
▼ 朝7時半、レンガ道にシマトネリコのかぶせ物に囲まれたダンゴムシの死骸がありました。アリの姿は見えませんでしたが、こんなことをやるのはトビイロシワアリでしょう、たぶん。
▼ かぶせ物を掃ってみたら、すぐにクロヤマアリがダンゴムシの死骸を運び去りました。自分よりも大きなダンゴムシを一生懸命に引きずります。あっという間の出来事でした。
トビイロシワアリC群考察
- 見つけた獲物にかぶせ物をするのは、ほかの虫に捕られるのを防ぐためだった。
- ダンゴムシの姿は丸見えだったのに、私がかぶせ物を掃うまではなにも近づく気配はなかった。
- かぶせ物にはにはほかの虫を避ける臭い(たとえば蟻酸とか)でもつけてあるの?
ハリブトシリアゲアリ
今話題のヒアリをちょっと太めにしたような形をしています。獲物に対しても、見ている私に対しても攻撃的だし、動きが早いアリです。
▼朝7時半、ミミズの死骸にびっしりと集まっています。右端に写っているのは、ミミズの破片を運び去ろうとしている集団。
▼同7時半。写真を撮ろうと近づくと、エサに群がったまま、私に対してお尻を上げて攻撃態勢に。お尻から毒液を出すそうですが、実際には毒液を出す「ふり」をしていることの方が多いと思います(個人意見)。
▼ 最初の写真の右下に写っていた、欠片を運び去ろうとする集団。
▼ 同じ日のお昼前の11時。既にアリたちの姿は見られず、干からびてかじりとられたミミズだけが残っていました。
ハシブトシリアゲアリ考察
- このアリは集まる時の数がほかのアリよりも多い気がする。一気に来て一気に片づける感じ。
- 獲物を集団で運搬することもあるし、噛みついて持ち帰ることもある。
- 手ぶらでうろうろしているアリは、内蔵に入れて巣に戻ってから吐き戻すのか?
- 手荒なことをするとすぐにチクッと咬んでくるから嫌い。(いつものことですが)
- 地面は照り返しが熱いから昼前に撤退したのかもしれない。枝先や日陰の地面では日中も元気に活動しているし、夜も門灯で元気に物色している。一日中元気な印象がある。
- このアリはうちの庭で一番幅を利かせていて、庭中で見かけるが、わが家の隣りの隣り以降はほとんど見かけないことがわかった(お隣りでは見かける)。わが家に多い原因はなに?
クロヤマアリA群
▼ 朝7時半、巣穴に向かって乾いたミミズを運搬していました。穴は二つ開いていました。(赤い丸印)
▼ 運搬中のところを拡大。少人数で近くまで運んでくると、ほかの仲間が手伝いに来ます。
▼ 昼11時ごろ。左の巣穴に運び込んだところ。ご苦労さま。
▼ 同じく昼11時ごろ、別のミミズの死骸を運び込んでいました。
クロヤマアリ考察
- トビイロシワアリやハリブトシリアゲアリと違って、1匹が大きくて力も強い。炎天下でも元気に働いていた。
- ミミズに集まってじっとしているのではなく、運べる程度にちぎってさっさと巣穴に持ち帰る。解体作業は巣穴の中で。
- 未確認だが、もしかしたらほかのアリが噛みついて小さくなったミミズを横取りして持ち帰るのかもしれない。(トビイロシワアリC群を参照)
アミメアリ
▼朝10時半ごろ、まだ乾ききっていないミミズに集まっていた。
▼ よく見ると、先端部分と裏側(地面とミミズの間)に集中している。
▼ 同日昼12時半ごろ。前と同じ状態だったので、ミミズをひっくり返してみた。裏側にアリがたくさんかじりついていて、表面が削れている。
アミメアリ考察
- ハシブトシリアゲアリと似た集まり方。大勢でミミズの表面にかぶりつく。
- アミメアリはトビイロシワアリのように砂かけを行うという記述が見られるが、今回は砂かけはやっていなかった。
- このアリは、観察する私に対して危害を加えてこないから好き。
ルリアリ
▼朝10時半ごろ、ミミズではない白い死骸に集まっていた。このアリはとにかく小さいので撮るのも大変。獲物の表面よりも内側に入ろうとしていた。内臓をくり抜く?
▼ 獲物が何か知りたくてひっくり返してみたが、何の死骸なのかわからなかった。
ルリアリ考察
- 獲物を囲む集団から一筋の列ができていて、雑木林の看板の柱を登っていた。看板の隙間に巣があるのか?
- うちのウッドデッキの下にもルリアリの巣があるような気がする。人工の構造物が好きなのかもしれない。
まとめ
今回は、トビイロシワアリ、ハリブトシリアゲアリ、クロヤマアリ、アミメアリ、ルリアリの狩り(?)の様子を見ました。
獲物を隠すアリ、昼は姿を消すアリ、獲物を運搬するアリ…。種類によって獲物の処理方法はさまざま。日頃からよく見かけるアリたちなので、大体想像のつく結末でしたが、クロヤマアリの略奪など驚かされることもありました。
トビイロシワアリのかぶせ物にどんな効力が隠されているのかも興味深いです。
ちなみに、うちの近所は以前住んでいた関東の家よりもアリの種類がかなり少ないように感じています。今回はいい機会なのでアリを見つけたらじっくり見て回りましたが、話題のヒアリは見かけませんでした。
ヒアリの画像を探しましたが、よくニュースで載せている干からびたヒアリの死骸の写真を見せられても、識別には全然役に立ちませんね。
同じ獲物に対しての行動の比較だったので、アリたちの性質の違いがよく分かりました。8月になると、セミの死骸をよく見かけるようになりますね。次回はセミで観察しようかな…。
ところで、今回の観察は「一日でできる自由研究」にもなりそうですね。
- 作者: チャールズダーウィン,Charles Darwin,渡辺弘之
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