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シダーローズを求めてヒマラヤスギを探す

11月にたまたま立ち寄った公園でシダーローズを拾いました。

あこがれていたシダーローズ。手に取ってみると思っていたよりもずっと素敵で木でできたバラの花のよう。シダーローズになる重厚感のある松ぼっくりも不思議。

シダーローズはヒマラヤスギにつく松ぼっくりの先端の部分です。

今回は、近所のシダーローズを探すための去年と今年の冬の散策のお話です。

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▲なかなか状態のいいものが見つからないでいます。

 

シダーローズができるまで

ヒマラヤスギの木は樹齢30年以上の大きな木になると松ぼっくりをつけるようになるそうで、そこになった松ぼっくりの一部がシダーローズと呼ばれています。

はじめは緑色の松ぼっくりが木の上で茶色く熟し、冬になると風に飛ばされて落下します。

この松ぼっくりはよく見かける松ぼっくりと違って、先端部分だけは塊になって落下しますが、残りは一枚一枚ばらばらに落下。

先端部分を採集して乾燥させると、クラフトで人気のシダーローズになるわけです。

 

▼枝から切ったばかりはずっしりと重たいです。

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分解する前の松ぼっくりが普通に手に入ることはまれ。

松ぼっくりは比較的高い位置になるし、しっかりと枝にくっついているので、分解前に落下することはまずありません。

これも業者の方が高所作業車で剪定作業をされた際に採られたものをいただきました。

  

▼乾燥するとだんだん松かさが開いてきます。

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ネットで調べると、シダーローズ拾いにいい時期は12~2月のようです。

私が見て回った木は、11月下旬にたくさん落ちているものもあったし、12月中旬にまだ枝にたくさん残っているものもありました。

ヒマラヤスギを探す

 Wikipediaから引用すると、ヒマラヤスギはこんな木です。

ヒマラヤスギ(ヒマラヤ杉、学名Cedrus deodara)は、マツ科ヒマラヤスギ属の常緑針葉樹ヒマラヤ山脈西部の標高1500 mから3200 mの地域が原産地である。高さは40 m-50 m、時には60 mにまで成長し、幹の直径は3 mに達する。樹冠は円錐形で、地面に水平な枝と垂れ下がった小枝がある[3]

針のような形をした葉はほとんどが2.5-5 cmの長さで、時には7 cmに達することもある。細長く厚さは 1mmほどである。芽は長く単独で生えるものと、短く20から30個で集団を作るものがある。色は明るい緑から青緑に変化する。雌花の松かさは樽形で、7-13 cmの長さで5-9 cmの幅がある。成熟(12か月)すると崩壊し、翼状の種子を落とす。雄花の松かさは4-6 cmで、秋に花粉を放出する[3]

 

ネット上でこんな解説も見つけました。 

風景と樹木 第19話「ヒマラヤスギ」 - いわけんブログ

12月ヒマラヤスギ - 木智塾 ~木の知識を深める~

 

▼ゴルフ場にあったヒマラヤスギ。

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公共施設や大きい公園にあるヒマラヤスギ

私が住んでいる県内でも、役所の庁舎前や有名公園などにはヒマラヤスギが植えられています。

今回初めて私が拾ったのも、有名公園のヒマラヤスギ。

ただ、今後また行くかと聞かれたら、街中では木の実を拾う人も多いだろうし、そのために電車で出かけるのも微妙な気分。

さらに公共施設は掃除が行き届いていて、松ぼっくりが落ちてもすぐに掃き清められそうで、わざわざ出かけて行って掃除の後だったりしてもくやしいし。

 

できるだけ近所でヒマラヤスギが見つからないか、探してみました。

ちなみに、ヒマラヤスギは3階建てのビルよりも高いぐらいの巨木だし、常緑で葉も落ちないので、はるか彼方からもわかりやすくて楽でした。 

新興住宅街にはヒマラヤスギはない 

昔自分が出た小学校にも植えてあったし、大学には大きなヒマラヤスギのシンボルツリーがありました。わが子たちの小学校(当時開校30周年を迎えていた)にもあったので、今の家の近所でも簡単に見つかるかと思ったら、大間違い。

ちなみにわが街は開設約30年の住宅地。

あちこち見て回ったところ、今どきの学校や病院は管理が大変なヒマラヤスギではなく、もっと背の低い木か、落葉樹を植えるようになったようです。

公共施設や公園の「背の高いシンボルツリー」は、最近はメタセコイヤ一強の感じ。

 

で、近所の公共施設でヒマラヤスギがあるのは古い病院だけでした。

去年「あの病院にヒマラヤスギがあった!」と思い出して早速出かけてみたら、実も花もまったく見当たらず。わりと巨木でしたが、まだまだ実をつけるには若すぎるようでした。

調べてみたら、病院開設30年とのこと。惜しい。

ゴルフ場は針葉樹が好き

 あちこち探した結果、近所のゴルフ場を外側から見ると、ヒマラヤスギの巨木が立ち並んでいるのに気がつきました。

ゴルフ場の周りにはどこも緩衝地帯の雑木林や茂みがあって、今まで全然気がつきませんでしたが、気をつけて見ていると景観作りのために針葉樹の巨木がたくさん植えてあります。

ヒマラヤスギ、テーダ松、スギ、ヒノキ、ネズミサシ。

ドイツトウヒのあるゴルフ場もありました。来年拾いに行こう…。

ゴルフ場によって、ガードが固くて近くには寄れないところもあるし、逆にフェンスひとつで一般道から仕切られているところもありました。

フェンスのところは外の道路にも実が落ちて拾えるはず。

ヒマラヤスギに近づきたいあまり、一時はゴルフ場のコース管理(落ち葉拾い)のパートに応募しようかとも思いましたが(^^ゞ

 

脱線しますが、これだけスギやヒノキがたくさんあると、ゴルフ場が花粉症の発生源になっている感じもしますが…。

植物園や見本林で探す

見本林は変わった木や有名な木がちょっとずつ見られるのでお勧めです。

ヒマラヤスギも、様々な剪定方法のサンプルや若木や老木の見本があったり。参考になりました。

ついでにほかの使えそうな木の実がなる木も見られるのでお得。

私は自然林の散策が好きですが、見本林は知らない木に出会えたり、身近なのに見逃していた木に気づけたりするので、ヒマラヤスギ探しの以前から時々出掛けます。

 

ヒマラヤスギの花と実

ヒマラヤスギは雌雄同株。

秋に雄花が咲いて、その後に咲く雌花に受粉して松ぼっくりができます。熟すまで1年がかり。

 

▼無数についたヒマラヤスギの雄花。12月上旬。

写真の下の方に、その前年にできた松ぼっくりが熟したのが写っています。 

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▼たくさんの熟した松ぼっくり。12月上旬。

前年に受粉して、1年かかって茶色い松ぼっくりになったもの。

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▼右の木は松ぼっくりがいっぱい。

同じ大きさの木でも、実があるものとないものが。

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ここの剪定業者さんにお聞きしたところ、今年は強剪定をしたので(多めに枝を落とした)松ぼっくりはほとんどないそうです。

樹齢だけでなく剪定の仕方によっても松ぼっくりのなり方が変わるようです。

右の木は切られても実をつけた強者?

 

▼これはおそらく剪定せずに放置されたヒマラスギ。

下枝も落としていないので、低い位置まで枝があります。

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▼秋に咲いた雄花の花ガラが地面に落ちていました。12月上旬。

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▼残っている松ぼっくりと、上半分が落下した松ぼっくり。12月中旬。

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松ぼっくりが分解して落下したもの。12月中旬。

1枚ごとにばらばら。この中に先端部分(シダーローズ)が混じっているので注意深く探します。f:id:mushitomo:20181222215547j:plain

▼松かさが全部崩壊した後は軸だけが残ります。12月中旬。

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▼ヒマラヤスギの薄紫色の雌花(球果)。12月中旬。

これが来年には大きな松ぼっくりになります。

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ネット上では「雌花は高いところにつく」と書かれていますが、私が見たところ低いところにもついていました。低い枝になる松ぼっくりもあるから当然だとは思います。

 

▼台風で倒れたと思われるヒマラヤスギ。かなり根が浅い。

左側に写っている幹は生きているヒマラヤスギですが、かなり巨木でした。

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シダーローズの剥離防止処理

拾ってきたシダーローズは乾燥させておくともう少し開きます。

開いたところで、木工用ボンドでばらけないように固めます。

乾燥して開かせる 

▼本当は洗って天日干しがいいのだと思いますが、私が拾ってきたのは状態が悪いものばかりでバラバラになりそうなので室内で干しました。

次回はもっときれいなのを拾いたい!

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▼暖房のある部屋に1日置いたら、松かさが開きました。

この中で大きいもので直径6cm。

拾った中で一番大きいものは8cmぐらいのものもありました。 

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剥離防止をする

 松かさが開いたら、逆さにして木工用ボンドで固定。

▼一番下の花びら(みたいな部分)が落ちやすいので、ボンドを多めに。後で作業がしやすくするために、芯のところに針金を刺しました。

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大きいまま利用する

ネットを見ていると、分解してしまう前の松ぼっくりを入手して、針金で縛って乾燥させて、松ぼっくりを丸々クラフトに使う方もいらっしゃるようです。

 

松ぼっくりが開く様子

いただいた松ぼっくりは2週間ほど経ちましたが、だんだん開いてきました。

野外では枝の上で開いて、タネが風に飛ばされて松かさも落下し、最後は中心の軸だけが残っています。

 

▼松やにがたくさんついているものは開くのが遅いような気がします。

下に敷いているのはA4サイズのルーズリーフです。

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オールドローズみたいで美しい!

でも、もう少しすると下からバラバラになってしまう…。 

針金で縛っておけば、分解せずに楽しめるようです。

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▼松かさが開いたところを拡大。タネが見えます。

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※追記

▼一週間後、さらに開いたところ。

このまま崩してしまうのはもったいないので、針金で固定してみました。

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- - - - - 追記はここまで

おしまいに

シダーローズの美しさとヒマラヤスギの不思議さに魅せられて、去年冬から近場をいろいろ探しましたが、まだ模索が続きそうです。

せっかく見つけたとあるゴルフ場のヒマラヤスギも強剪定で今年はほとんど実がつかず。だいたいゴルフ場の中まで拾いに入る許可をもらうのも難しそうだし…。

 

シダーローズは今やメルカリでも状態のいいきれいなのがたくさん売っています。

以前私が木の実のリースやクラフト(かっこよく言うとトロッケンクランツ)に凝っていたころはまだそんなに出回っていなかったはず。 

伝統的なクラフトでも流行があるようですね。 

 

amazonにも売っています。

シダーローズ(ヒマラヤ杉の実)1個 クリスマス 木の実

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でも私は、無傷のきれいなのを自分の手で拾ってみたいです。

  

 ▼実際に拾った時のお話です。

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まつぼっくりノート―ひろってふしぎつくってたのしい

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大人のフィールド図鑑 原寸で楽しむ 身近な木の実・タネ 図鑑&採集ガイド

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