冬の虫探し 越冬中の虫を探しに行こう
幼虫やさなぎで越冬する虫や集団で越冬する虫を探すのも、冬の楽しみの一つです。
冬は広葉樹や草の葉が落ちて見通しがよくなるので、夏の間には見逃していたようなものも見つかります。
子どもたちが好きそうな生きものの冬眠の様子をまとめてみました。
↑ 川原にあった無数のミノムシ。全部で30~40個はありました。いるところにはいるものです。
ミノムシ
私が子どものころはどこにでもたくさんいたミノムシですが、今は気合を入れて探さないとなかなか見つからない虫になってしまいました。外国から入ったオオミノガヤドリバエという寄生バエのせいだとも言われています。
ミノムシたちは、蓑の中で幼虫の状態で越冬しているはずですが、実際に切って中を確認しても、空っぽのものばかりです。
ニトベミノガ
柔らかい葉っぱを雑に貼りつけたくしゃっとした感じのミノムシ。場所によって、年によっては、大量に見つかります。これはトウカエデの街路樹で大量発生したもの。 この場所が毎年大量発生なのかというと、そういう訳でもありません。
チャミノガ
ほかのミノムシが姿を消している中で、チャミノガは庭木の害虫として頑張って(?)いるようです。地面に対して垂直にぶら下がるのではなく、腹筋でもしているように角度をつけて貼りついています。
これは、街路樹のサツキツツジに大量発生したチャミノガのミノムシ。羽化後の状態。
チャミノガのミノムシが大量に発生すると、木が枝ごと枯れてしまいます。この周辺のサツキツツジが一斉に枯れてしまい、造園屋さんが困っていました。
オオミノガ
身近なミノムシの中で一番大きいのがオオミノガ。
写真は8月、在りし日のオオミノガ。夏の間は葉っぱをモリモリ食べています。飼育してみましたが、その食欲にびっくり。 食べる葉っぱがなくなってしまうと、飼育容器のふたをこじ開けて、天井まで登ってさらに移動していました。
じっとしている印象があるミノムシですが、実はかなり活発です。
秋になって見かけた、空っぽになったオオミノガのミノムシ。
上のミノムシ、持ち帰って中を確認してみました。
ミノガの幼虫の残骸(ほぼ頭部だけ)と、オオミノガヤドリバエのさなぎのカラがいっぱい。この個体も「ヤドリバエに寄生されて残念」だったようです。
越冬中のチョウのさなぎ
アゲハやモンシロチョウのさなぎは、周りの色に合わせて、緑色のさなぎになったり茶色のさなぎになったり、色を変えるそうです。
集団で越冬する虫たち
同種の虫たちがたくさん集まって越冬しているのも見かけます。陽だまりの看板の下や人工物のくぼみなどを探すと見つかります。
マテバシイなどの常緑樹の茂みでは、チョウの集団越冬も見られるそうです。残念ながら私は、1~2頭で越冬しているところしか見たことがありません(^^;)
これは、ツタの茂みで越冬中のウラギンシジミ。
キイロテントウ
集団越冬はナミテントウが有名ですが、私はぎっしり集まっているのは見たことがないので、代わりにミカンの葉裏にいたキイロテントウの集団越冬の写真を載せておきます。
晩秋に、近所の建物のボイラー室(たぶん)のそばに大量にナミテントウが集まるのはよく見かけたので、人工的に加温されているような場所を探すのも近道かもしれません。
暖かい場所のフェンスの陰にもキイロテントウがたくさん見つかりました。こういう場所は、カマキリの卵やクモの卵のうなど、いろんなものが見つかっておもしろいです。
ヨコヅナサシガメの大集団
ヨコヅナサシガメは、多い時は数え切れないほどの大集団で越冬します。コナラの幹の陰に隠れていた大集団。
夏の間は夜間だけ小集団になって、朝が来ると散らばりますが、寒くなると一日中びっしりと固まって動きません。
上のヨコヅナサシガメの集団を正面から見ると…。
小枝などでつつくと、夏の夜ならばのろのろと動き出しますが、寒い時期は死んだように動きません。(死んではいません)
カブト・クワガタの幼虫
腐葉土を掘ってみると、条件のいい場所だとカブトムシの幼虫が大量に見つかります。
落ち葉が自然に積もっている場所よりも、堆肥を作るための場所など、人間が意図的に落ち葉を集めて、奥までふかふかになっている場所を探してみてください。
誰かの土地の時は、許可を得て掘ってくださいね。
シイタケを育てたほだぎを捨ててある場所をひっくり返したらカブトムシの幼虫がいっぱい。ほだぎを割れば、クワガタの幼虫が出てきたはずです。
腐葉土をひっくり返すのは、また戻しておけば幼虫たちもあまり困りませんが、朽木を割ってしまうと、幼虫たちの居場所がなくなってしまうので、ほどほどに…。
スズメバチやアシナガバチの新女王
クワガタの幼虫を探そうと思って調子に乗って朽ち木割りをやっていると、スズメバチやアシナガバチの新女王が越冬しているところに出くわすこともあります。運が悪いと大勢で越冬していることもあるので、注意が必要です。
参考サイト → 「都市のスズメバチ」スズメバチの越冬
割れた竹の中で越冬中のアシナガバチ。
上のアシナガバチを竹から出してみると、ヤマトアシナガバチでした。冬眠中なのでボーっとしていました。
樹皮剥がし
虫たちの隠れる環境がなくなってしまうのであまりお勧めしませんが、樹皮の浮いたところを剥がしてみると、いろんな虫やクモ、卵などが隠れています。
看板や木の名前を書いた札の裏などでも同じような系統の虫が見つかります。
時にはこんな大物も。アカマツの樹皮に隠れていたマイマイカブリ。
申し訳ないですが、外に出てもらいました。カタツムリを食べる飛べない虫。変な液体を吹きかけてくるので、触らない方がいいい虫です。
樹皮の裏に隠れていたキンイロエビグモ。
こんな本も出ています。予習して、ターゲットを決めて出かけるとより楽しいかも。
わたしの研究 虫はどのように冬を越すのか? (わたしのノンフィクション)
- 作者: 茅野春雄,下田智美
- 出版社/メーカー: 偕成社
- 発売日: 1995/04
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る
虫ではありませんが…
ザリガニ
池のそばの地面で越冬していたザリガニ。
池で水切り(石を投げて弾む回数を競い合う遊び)をしていたら見つかりました。どうもザリガニの家の蓋になっていた石を取ってしまったようです。
水切りのアドバイスの動画、見つけました。
カナヘビ
カナヘビやトカゲは、暖かい日には日向で日光浴をしています。
これは、温水プールの建物の壁沿いの草に隠れていたカナヘビの赤ちゃん(手は小学2年生)。壁沿いに小さいカナヘビがたくさん隠れていて、子どもたちが面白がってカナヘビ探しをしていました。
真冬の神社の石段で日向ぼっこしていたトカゲのお母さん。
トカゲは小さい時は青紫色ですが、大人になるとカナヘビに似た茶色でカナヘビよりも光沢のある感じに体色が変わります。カナヘビよりも臆病なので、すぐに隠れてしまいます。
おしまいに
ほかにも、ヤツデやカクレミノのような大きめの常緑樹の葉っぱの裏を念入りに見ていくと、小さい虫やクモの赤ちゃんが隠れています。子どもには少々根気のいる作業ですが、思いがけないものも見つかります。
夏の間にいろんな虫を観察していると、それの赤ちゃんが見つかったりして、「こんなところに隠れていたのか~」とちょっとうれしくなったりして…。