冬の虫探し 小春日和には虫たちと日向ぼっこに行こう
寒くなってきても、暖かい陽だまりに行くと、日光浴に来た虫たちに会えます。晩秋から冬にかけて活動する虫もいます。
そろそろ冬の気配が近づいていますが、暖かい日にお子さんと野辺に出かけてみませんか。
↑ 気温が下がってくるとアキアカネも不活発になって、手にのせやすくなります。(11~12月)
日向ぼっこにやってくる虫
成虫で越冬するチョウやバッタ
ムラサキシジミやムラサキツバメは日光浴するために翅を開いた姿が美しいチョウです。常緑樹の葉の裏などに集団で越冬しているのを見かけますが、暖かい日は吸蜜や日光浴に出てきます。
ヤツデの花に来たムラサキシジミ。 ヤツデって、こう見えても吸蜜植物としてはけっこう優秀なようで、冬の虫たちの人気レストランです。
吸蜜の後、翅を広げて日光浴するムラサキシジミ。青く輝く翅は、驚くほどきれいです。初めて見た時は、あまりにも神々しいのでわが目を疑いました。
ムラサキツバメ♂の開翅はこちら。ムラサキツバメは尾状突起があります。このチョウのメスは、残念ながらちょっと地味です。
キタテハも、冬の暖かい日に飛んでいるのを見かけます。キタテハは夏型よりも秋冬に飛ぶ秋型の方が模様が鮮やか。
晩秋の樹液場で、スズメバチを気にしながら樹液を飲みに来たルリタテハ。このチョウも冬の暖かい日には、地面で開翅して日光浴しています。
地面で日光浴中のアカタテハ。このチョウも成虫で越冬します。
キチョウたちも、暖かい日は貴重な花を探して吸蜜に出てきます。キチョウのように、飛ぶとき以外は翅を開かない種類のチョウたちは、翅を閉じたままお日様に垂直に体を向けて、少しでも暖を取ろうとしている姿を見かけます。
天気の悪い日や夕方は、こんな感じで隠れています。
ウラギンシジミのメスも、冬に翅を広げて日光浴しているのを見かけます。オスは翅の真ん中がオレンジ色ですが、私はオスの越冬を見たことがありません。オスが犬のおしっこを飲んでいるのはよく見ますが…。数は少ないですがオスも越冬する個体はいるようです。
常緑樹の茂みで越冬中のウラギンシジミ♀。これはツタの葉ですが、カシの木の葉裏で見つけることが多いです。
ウラギンシジミの観察をされた記録の本があります。
葉の裏で冬を生きぬくチョウ―ウラギンシジミ10年の観察 (わたしの研究)
- 作者: 高柳芳恵,村山純子
- 出版社/メーカー: 偕成社
- 発売日: 1999/10
- メディア: 単行本
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越冬する大型のバッタとして目立つのがツチイナゴ。草はらを歩いていると、バサッと飛び立ちます。虫の多い秋にはあんまり人気のない虫ですが、冬から春の時期は、ほかに大きな虫がいないので、子どもたちにも人気がありました。
成虫越冬はできない虫
アカタテハによく似たヒメアカタテハは年明けにも見かけるチョウですが、幼虫で越冬します。ヨモギの葉で作った巣を開くと、幼虫が休んでいます。
なかに毛虫っぽい幼虫が隠れています。昔は面白がって巣を開いていましたが、糸で葉っぱのバリアを作るのは、捕食者や寄生蜂や寄生バエを避けるためでもあるようで、気の毒なので最近はそっとしてあげています。
ヒナバッタも越冬はできないようですが、寒くなってからもジキジキと元気に鳴いています。
晩秋に産卵する虫
クヌギカメムシの仲間
クヌギカメムシの仲間は 、11月の終わりごろクヌギやコナラの幹に卵塊を産みつけます。普段は緑色のカメムシですが、産卵前になると赤くなります。
クヌギやコナラの幹の割れ目を執念深く(!)探すと、卵塊が見つかります。3月になると、そこから小さいな幼虫たちが生まれてきます。
コナラに産みつけられたクヌギカメムシの仲間の卵塊。クヌギカメムシは国内で3種似た虫がいて、腹部の斑点や生殖器を見ないと確実な同定はできません。
ミノウスバ
黄色い毛におおわれたモフモフのガ。11月の中旬に、オスとメスが一同に会して、交尾と産卵が行われます。モフモフの塊がよろよろと飛ぶ様子は、初めて見た人にはちょっとびっくりな姿です。
マサキの木が食樹なので、マサキの生垣を探してみてください。春先には、探さなくてもマサキの枝先に幼虫が大量発生するので、いやでも目に入りますが…。
左がオスで、右がメス。メスは初めはこんなにモフモフですが、自分の毛を抜いて卵塊にかぶせるので、産卵後はほとんど黄色い毛がなくなってしまいます。
触角が立派な右端のがオス。あとは産卵中のメスたち。
真冬にも元気な虫
ヒラタアブの仲間
ヒラタアブの仲間は小さいし種類が多いので、子どもの昆虫観察にはちょっと不適かもしれませんが、厳冬期にも蜜を求めて飛んでいます。冬に咲く花、特にサザンカやヤツデの花には、この仲間が集まっています。
数少ない冬のタンポポに集まるヒラタアブ。
フユシャクの仲間
真冬の夕方から夜にかけて活発になる蛾の仲間たちがいます。
寒い夜に出かけるのが億劫なので、私は昼間の残党しか見たことがないので、探す醍醐味はちょっとわかりません(^^;)
ここ10年くらい、ネット上でもたくさん情報が出ているので、厳冬期の夜のフユシャク探しも楽しいんだと思います。
達人のサイトはこちら→「相模の国の自然スケッチ」フユシャクの探し方
12月の真っ暗な雑木林を飛び回っていた昼光性のフユシャク。みんなが探しているのは、もっと翅が退化した奇妙な形をしたフユシャクです。
おしまいに
冬の虫探しには、葉裏に隠れる小さい虫を探したり、落ち葉を掘り返したり、もっと地を這うような地道なやり方もありますが、それほど気合が入っていない子を連れて行っても楽しめそうな虫たちを紹介してみました。
冬でも風が通らなくて陽だまりになるような場所を見つけて、虫たちと一緒に日向ぼっこに出かけませんか。
この絵本は、兄弟で冬の虫とりに出かけるお話。本当に虫が好きな子に、ぜひおすすめしたいシリーズです。本で予備知識を持って野辺に出ると、ただぼーっと散歩するよりもずっと楽しいことがたくさん見つかるはず。特に冬は寒いので…。
同じシリーズで、いろんなバージョンの虫とりが紹介されています。