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ダイビングで遭遇した危険な体験(5)初めてバディだけで潜る

前回に引き続き、ダイビングの危険な思い出第五弾。細かい危険はほかにもいろいろありましたが、記事にするのはこれが最後です(^^;)

海外で、初めてバディと二人だけで潜ったときの思い出です。

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初めて人を連れて潜る 

ダイビングはバディと二人が基本単位

ダイビングは危険が伴うスポーツなので、自分とバディの共同責任で行動します。相手が困っていたら助け、潜水を中止する必要が生じれば、一緒に陸に上がります。

空気が足りなくなったら、バディが自分のタンクの空気を分けてあげるシステムで、ダイバーは、いざという時のために、バディ用の空気の吸い口(オクトパス)を必ずつけて潜ります。 

でも、初級者が二人だけで潜るのは危ないので、ちまたの初級ダイバーは、ガイドやインストラクターの後をバディでついていく形が多いです。

旦那、ライセンスを取る 

私の影響で、旦那もダイビングのライセンスを取って、2人で潜りに行くようになりました。2人で、ガイドについていくダイビング。

旦那が潜る時には、必ず私がついているので、彼は自立したダイバーとはいいがたい状態でした。

普通の人は、初対面の人とバディを組んだりするので、自分のことは自分で管理して、多少なりともダイバーとして成長していきます。でも、奥さん(私)が必ずいると、何かと人任せになっていました。

モルディブでガイドなしで潜る

前回のお話に出てきたビヤドゥ島は、基本的にはガイドなしでビーチエントリーして、自己責任で潜るところです。

 

私自身は、それまで、ガイドの後ろを潜ったり、自分よりも上手な仲間たちとしか潜ったことがありませんでした。

そんな私が、初心者の旦那と二人だけで潜るのです。

「まあ、何とかなるよね。国内で練習したし…」と考えていましたが…。

バディとコミュニケーションが取れない 

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潜水計画は一応話しておいたのに、旦那は自由にやり始めました。

ダイビングは「流れに逆らって進み、流れに乗って戻る」のが基本です。ただ流されて行く場合もありますが、たいていはエントリーした場所に戻る必要があるので、「行って帰ってくる」必要があります。

流れに乗って楽をして、遠い場所でエキジットしてしまったら、重たい機材を担いで延々と陸を歩いて戻ってこなければなりません。(水中の方が移動は楽)

 

彼は、潜降がうまく出来ず、水面の方を進んでいきました。

その時は、表層と下層で、流れが逆になっていて、先に潜降して下にいる私は流れに逆らってゆっくり進んでいるのに、上の方にいる彼は、スイスイと進んで行ってしまいました。

海底にいる私が、下から合図を送ってもお構いなし。

流れに乗ってどんどん私から離れていきます。

後で聞いたら、流れるプールみたいで楽しかったそうです(^^;)

 

それまで、私がサポートするだけで、彼の方が私を確認することなくダイビングをしてきました。

どんどん離れてしまうので、私もいったん浮上して、表層の流れに乗って追いかけました。

「二人の深度を合わせること」「進む方向を考えること」を伝えてまた潜りましたが、彼は引き続き表層を行くばかり。

1回のダイビングで、私は潜降したり浮上したりを何回も繰り返すことになりました。潜降と浮上を繰り返すと、潜水病になる危険もあります。

当然ダイビングコンピュータも携帯していましたが、浮上速度が速いから、何度もピーピーと警告音が鳴ります。

疲れました…。 

 

「ガイドさんがいかに大変なのか」「自立したダイバーと組まないと自分も危険になる」ということが、身にしみてわかりました。

ダイビングは遊びだけど真剣勝負 

「遊びなんだから、自由にやらせてほしい」というのが、彼の言い分のようでしたが、ダイビングはバディと歩調を合わせないと、両方とも危険な事態に陥ることがあるレジャーです。

 

リゾートで手軽にライセンスを取って、ダイビングはリゾートばかり…という人たちの中には、そういう安易な考えの人も多いかも。リゾートでは「お客さま」なので、ダイビング仲間のように真剣に怒ってくれる人もいないですから。

 

ダイビングって自由なスポーツだと思われていますが、実はあまり自由じゃなくて、約束事や規制の多いスポーツです。

「機材の管理」、「潜水計画」、「バディとのコンタクト」、「潜降や中性浮力のスキル」などなどなど、たくさん気をつけるべきことがあって、命の危険が伴います。

 

今回の旦那のように「耳抜き」がスムーズにできないと、潜降が遅れて、先に海底に下りた仲間とはぐれてしまいます。

「アンカーロープ(船と海底をつないだロープ)につかまらないと降りられない」なんて言ってる場合じゃありません。

 

ちなみに、耳抜きとは、鼻をつまんで耳の中を水圧の変化に対応させることですが、上級者でも時間がかかる人もいて、人によってさまざまですが、練習は必要。私は、耳抜きしなくても、ちょっと鼻を動かすだけですぐに抜けるので助かっていました。(逆に、普通の人がやっている耳抜きをやると耳が痛くなります)  

泳げなくてもダイビングはできます?  

この「ダイビングの危険な思い出シリーズ」の初めにも書きましたが、ダイビングってお気楽で楽勝なレジャーだと思っている人が多いのではないかと思います。

ダイビングは自然相手の、時には命の危険と隣り合わせのスポーツだと、知ってほしくて、自分の危険な思い出を書き出してみました。

 

「泳げなくてもダイビングはできますよ!」というセリフが、ダイビングの宣伝でもショップでもあふれ返っています。

でも、泳げない人が、いざという時自分の身を守れるの?

フィンキックが下手くそで、リゾートでサンゴをバキバキ折っている初級者もよく見かけます。泳ぎが下手だと、自分も危険、海の生き物も危険です。

(サンゴや砂地の上は、通常は足を高めに保って、ふわふわと浮いて移動します)

 

ダイビング業界の商売に水を差すようで悪いのですが、ある程度泳力や体力がないと、ダイビングを続けるのは難しいと思います。インストラクターに守られて大枚はたいてライセンスを取ってしまってから、「海が怖い」と言って潜りに行かない人もよくいます。

「泳げないとダイビングは危険です」と書き直してほしいです。

 

ダイビングのプロによる、事故の状況や原因の考察記事をリンクしておきます。

oceana.ne.jp 

おしまいに

今まで書いてきた危険体験は、私の技術が未熟なせいで起きたものですが、不可抗力な面もありました。誰にでも起こりうることだと思います。

それでも行きたいくらい、海は魅力的でした。

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 私は、自分の親に、ダイビングが結構危険なレジャーだとは一切伝えずにやっていました。

親の方でも、その辺のことには全然気がつかずに、「お金持ちの男の人との出会いがあるんじゃないの?」とか、のん気なことを言っていました。 

もし自分の子がライセンスを取ろうと言い出したら、ちょっと心配になってしまうと思っています。

 

今回ダイビングの危険体験を振り返るために、久しぶりにダイビングのことを調べていて、忘れていたすばらしい体験もたくさん思い出しました(^^;)

ダイビングを始める方にお役に立てる情報だったかどうか全く自信がありませんが、書いていて自分がとても楽しかったです。

 

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