虫はともだち

虫の本の紹介、写真撮影、子育て、いろいろ…

夏休みの自由研究 庭の虫さがし(1)

小学校の夏休みの自由研究第2段。庭の虫さがしです。
わが家の下の子は、1年生の夏休みに庭の虫さがしをしました。夏休み期間中だけで見つけた虫は100種類を超えました。初めは「20種類ぐらい見つけてくるのかな?」と思っていたのですが、クモを見つけ出してからどんどん数が増えました。
その時住んでいた家の庭は、それほど広くはありませんでしたが、土壌や日照の影響なのか、生物相が豊かでした。普通の小さな庭でも、庭木や植物があれば、数十種類は簡単に見つかるはずです。
はじめにお断りしておきますが、庭の生きものはダンゴムシやナメクジなどの土壌生物とクモ類が多いので、虫が嫌いな方にはうんざりかもしれません(^^;)

とにかくデジカメで撮る

探し始めると、どんどん見つかります。本人はスケッチをするつもりで始めましたが、全然追いつかないので、デジカメを貸しました。

マクロに強いデジカメを使う

撮る虫は、大きくて数センチ、ほとんどが1cm未満です。マクロ撮影でないと、きれいに撮れません。
カメラのスペック表を確認して、被写体まで1cm、せめて5㎝まで寄って撮れるカメラを選びます。

↓ 被写体まで最短が30cmのカメラだと、がんばってもピンボケに。
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↓ 被写体まで近づけるカメラだと、アリの写真も何とか撮れます。
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フラッシュ強制で撮る

虫は動くし、明るい場所にいることも少ないので、フラッシュは強制で光るように設定しておきます。
あんまりフラッシュの光が強すぎる時は、フラッシュの強さを調整できるカメラなら、少し光量を下げて。光量が変えられないカメラの場合は、障子の紙やティッシュなどをテープでフラッシュの前につけて撮りました。(なんちゃってディフューザー

何枚も撮る

慣れないうちはピンボケ写真も多いので、とにかく何枚も撮ってみて。
虫の観察という意味からも、前から、横からなど、角度を変えて何枚も撮ることは後で役に立ちました。

トリミングして印刷

カメラの最大サイズの画素数で撮って、トリミングしてプリントアウト。小さいサイズで撮ると、トリミングした時にぼやけた写真になってしまいます。
印刷の時に、撮影日時が書き込めるなら、その方が後の管理が楽です。

図鑑で調べる

昆虫図鑑はぼろぼろに

撮った虫たちの名前を図鑑で調べます。これが結構大変でした。
ダンゴムシっぽいものでも、ダンゴムシ、ワラジムシ、キシャヤスデなど、いろいろいます。
アリだって、クロオオアリ、クロヤマアリ、トビイロケアリ、オオハリアリ、あと忘れてしまったけれど、たくさん巣がありました。
カメムシは幼虫と成虫で色も形も違うので、調べるのが大変でした。こういう情報はネットで調べた方が早いです。
ダンゴムシもクモも、分類学上は昆虫ではありませんが、子どもがムシだと思うものは全部ピックアップしました。

クモはクモ図鑑で調べる

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↑ 葉っぱをつるして隠れるヒメグモ。上がメス、下がオス。クモのオスは結婚の時期にちょっとメスのそばに来るだけです。

クモは昆虫図鑑にはほとんど載っていないし、幼体と成体、オスとメスでは色も形も違うものが多く、初めは本当に苦労しました。クモ図鑑の手ごろなものを図書館で見つけて、なんとか調べることができました。クモは、探せばどこにでも見つかります。家の壁、門灯、庭木、フェンス…。

日本のクモ 増補改訂版 (ネイチャーガイド)

日本のクモ 増補改訂版 (ネイチャーガイド)

↑ この図鑑、初版の間違いが指摘できるほどすみずみまで見ました。今売っているのは改訂版です。

変化を見届ける

見つけた虫は、夏休みの間経過観察をして、デジカメで記録。

結婚や子育てを見る

クモやカメムシは、夏休みの間に結婚して子どもを産むものも多く、子育てを見るのもなかなかドラマチックでした。
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↑ 卵のうと子グモを守るヒメグモ。左に写っている赤いのがオス。

卵から何が生まれるか?

卵が産みつけてあったら、何が生まれるか見届けました。気になったら、何度も見に行けるのが庭の観察のいいところ。
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↑ ユキヤナギにあった卵から産まれたクサギカメムシ

暮らしぶりを見る

カマキリは、それぞれ同じ場所にずっといたので、大きくなるまで毎日会うことができました。捕食や脱皮など、いろいろな姿が見られました。

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↑ 朝の水やりの後、水を飲みに来たカマキリ。

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↑ アブを捕らえたカマキリ。窓辺なので一部始終が見えました。

飼ってみる

植木鉢の植え替えをしていて出てきた正体不明のイモムシを観察箱に土を入れて置いておいたらアオドウガネが出てきたり。
ダンゴムシを飼って、その落ち葉分解能力の高さに感心したり。
庭なので、だれも巣を壊したりしないので、ブロックの下のアリの巣やハサミムシは、そのまま観察しました。
虫の飼育は、チョウの幼虫を飼うのが定番ですが、チョウはそれまでにたくさん飼っていたのと、庭の虫調べが忙しくて、この年の夏はチョウの飼育はしませんでした。

生き餌をやってみる

アブラムシやハゴロモ類の幼虫など、言ってみれば庭木の害虫になりそうな小さな虫をちょっと圧迫して弱らせて、クモの網の中に投げ込んでみました。
クモによって、獲物の捕獲の仕方やスピードが違います。最初にかみつくジョロウグモ、最初はドバっと糸を吹きかけるナガコガネグモなど…。
本来は自然に獲物が掛かるのを待つべきなのでしょうが、待っていられないので。

生き餌は私が勧めた観察方法ではありませんが、やってみるとクモの行動の違いがとてもよくわかります。殺生を嫌うお母さんも多いかと思いますが、害虫をガンガン殺虫剤で殺してしまうのと比べたら、断然少ない被害だと思います。

夜、観察してみる

LEDライトを持って、庭を回ってみます。夜行性の虫の観察ができます。
夕方網を張って、朝には撤収してしまうクモもいます。そういうクモは、夜しか元気な姿が見られません。
ダンゴムシも夜は猛スピードで歩くので、初めはかなりびっくりしました。

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↑ クサカゲロウの産卵。(夜7時)

大人も詳しく調べる

今振り返ってみると、子どもが「なにか違う」と言ってきたのに、軽くスルーしてしまったこともいろいろありました。もっと知識があったら、貴重な場面であるとわかって、より踏み込んだ観察ができたはずでした。
「ハチが葉っぱを隣りの家の添え木に運んでいる」と言っていたのに、「そんなの外国の話でしょ」ってスルーしたり。ハキリバチは身近な虫です(^^;)
「コクサグモがなんか変」と言ってきたのに、汚らしいからこの巣は取ってしまおうと、掃除してしまったり。もったいないことをしました。

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↑ ホースに葉っぱを運び、産卵準備をするハキリバチ。

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↑ コクサグモの求愛。下がオス、上がメス。オスはメスをうっとりさせて交接に及ぶのだそうです。オスが持っているのは、もしかしたらお土産の獲物なのかもしれません。虫の中には「求愛給餌」といって、交尾の時にメスにプレゼントを差し出すものもいます。求愛でダンスをするクモも多いです。

まとめ方

一種類ごとにルーズリーフを1枚用意。写真をプリントアウトして、貼りつけ。調べたことや観察でわかったことをちょこっと記入。
それぞれの虫の成長や発見がだんだん増えていくので、毎日つけ足していくにはこの方法が楽でした。
最終日に、庭の植栽のレイアウトと、そこにいた虫をまとめ、分類別に数を数えました。
全部集めたら、ファイルがいっぱいになって、提出して戻ってきてからも、しばらくは彼の大事な宝物でした。今見ると、ものすごく下手な字だしひらがなばかりで笑えます。

前回の記事でも書きましたが、賞を狙って提出する人にはこの方法は向きません。自由研究は、だれにでもアピールできるように大きな紙にまとめた方がいいようです。
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