虫はともだち

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夏休みの自由研究 セミを観察する

小学校の夏休みの自由研究は、セミをテーマにする子も少なくないと思います。わが家の子どもたちの経験から、小学校低学年におすすめのセミの自由研究をまとめてみました。

セミのぬけがら探し

ぬけがらを探して種類を調べ、お菓子やお弁当などの空き箱に並べます。余裕があれば、夏休みの前半と後半に、一か所でぬけがらを集めて数を数えて変化を見るのもおもしろいです。
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↑ アブラゼミのぬけがら。

[POINT] 出現時期がセミによって違う
セミは種類によって成虫になる時期が違います。夏休みにぬけがらを探す場合は、ニイニイゼミは出現時期が早いのでなかなか見つからないことも。
出現のピークは…。(暖地の平地、私の独断と偏見で)

ニイニイゼミ 7月上旬
クマゼミ 7月上旬
アブラゼミ、ミンミンゼミ 7月下旬
ツクツクボウシ 8月上旬
ヒグラシ 夏休み前から

[POINT] アブラゼミとミンミンゼミのぬけがらはそっくり
アブラゼミとミンミンゼミが同時に同じ場所で鳴く地方だと、ぬけがらが似ているので、見分ける必要があります。
見分け方はこちら → こどもの国|広大な自然と遊び場、子どもがやりたいことを遊ぶ場所

[POINT] 旅先でも探してみる
エゾゼミのように避暑地に行くと会えるセミもいます。クマゼミツクツクボウシは関東だと簡単には見つからないこともありますが、関西などに旅行した時に探せば簡単に見つかるものも…。

[POINT] 標本箱の作り方
空き箱に合わせた大きさに段ボールを2枚切って、底に二重に敷きます。
セミの中心にまち針(100均の手芸用)を差して、段ボールに突き刺します。
お名前シールや付箋などに、セミの名前と採集場所や日付を記入して貼りつけ。
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セミの体を観察する

セミの体をじっくりと観察する。絵をかいたりデジカメで撮ったり。セミの眼がいくつ? 口から出ている針はなに? 鳴き声はどこから?など、図鑑と見比べながら体の構造の謎を調べてみます。もっと研究したい人は、他の虫の身体と構造を比較するのもおもいしろいかもしれません。
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↑ アブラゼミ。複眼が2つと単眼が3つ。

[POINT] 今の時代、標本作りはあまりお勧めできません
「生きものを大切に」という考えから、最近は生きたセミを殺して標本にすることに嫌悪感を持つ人も多いように思います。ましてや、セミは長い長い幼虫期間を経てやっと成虫になる虫なので、嫌悪感がより大きいかもしれません。デジカメで撮って、撮った後は放してあげるのが人道的。(研究者は今も捕りたい放題のようですが…)

[POINT] 鳴くのはオス、鳴かないのはメス
オスとメスでは、鳴くために体の構造が大きく違います。写真に撮って違いを観察するとおもしろいと思います。
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↑ クマゼミのオス。オレンジ色の腹弁がめだちます。

[POINT] デジカメの設定はマクロで
マクロの設定にすれば、近くのものを接写できます。チューリップマークがついているはず。最近は、1センチ離しただけで撮れるデジカメもたくさん出ています。スマホを使いこなす子も多いので、デジカメよりもスマホかな?

ご参考に…。
アブラゼミオスのマクロ写真を載せておきます。被写体にぎりぎりまで近づいて接写すると、ピントが中央にしか合わないので、それを避けるために今回は深度合成をしています。
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お顔拝見。
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赤い単眼3つと大きな複眼が2つ。
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木の汁を吸うためのストロー。
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セミの幼虫探し

セミの幼虫は暗くなってから地面から出てきて羽化するのですが、午後3時ごろから、まだ地中にいる幼虫を探します。ぬけがらや成虫を探すのよりは、少し難易度が上がりますが、幼虫を見つけた後、羽化を観察することもできます。夜に出かけなくていいので、大人がついていかなくても大丈夫。
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↑ 釣り上げたばかりの幼虫。

[POINT] 地面の下の幼虫を探す
まだ明るいうちに、セミの幼虫が出てきた跡の穴がある周辺をじっくりと見ていると、小さな(直径数ミリ)穴が見つかります。そっと小枝などで表面の土を除くと、中でセミの幼虫が地上に出てくる準備をしています。枝を穴に入れると幼虫がつかまってくるので、そっと引き上げます。穴を大きく掘り広げたり、無理に引っ張り出そうとすると、幼虫を傷つけてしまいます。観察箱に入れて、そっと持ち帰ります。
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↑ 穴から顔を出した幼虫。

[POINT] 幼虫の賢さを観察する
幼虫は、時期が来ると地表ギリギリまで上がってきて、外の様子をうかがっているようです。地面の振動で判断しているのか、人通りが多い地面からは脱出せず、ちゃんと踏みつぶされないような所を選んで地表に出るようです。穴の開いた場所の傾向を観察してみるとおもしろいです。

[POINT] 脱出口から考える幼虫が好む木
セミの羽化の時期が過ぎてから、脱出口を観察するのもおもしろいです。
何の木の根元に穴がいくつ開いていたのか数えると、セミが好む木がわかります。セミの幼虫たちはその木の根から汁を吸って育つわけです。クスやサクラの木が特に脱出口が多かったです。木によっては1本の根元に100以上の脱出口がありました。
紐を穴に入れてみると、かなり奥までトンネルがあり、途中で曲がっています。地面に草が生えていない場所でないと脱出口がわからないので、どこでもできる観察ではありませんが。

[POINT] 暗くなったら、懐中電灯
日が沈んで暗くなると、幼虫の方から地表に出てきます。その時間帯の観察は、LEDライトは必須です。一番やぶ蚊が増える時間帯です。

セミの羽化の観察

夜7時ごろ、羽化するために木を登っている幼虫を見つけてきて、家のカーテンに止まらせて羽化を観察。
セミが殻から抜け出す様子を、デジカメで撮影する。同じアングルで撮り続けると、進行具合がわかりやすいです。時間の経過は、デジカメのデータを見れば後でちゃんとわかります。
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↑ 何度見ても、よく落ちないものだと感心します。

[POINT] 部屋の温度はなるべく外気と同じ程度に
エアコンが効いた寒い部屋では、セミは羽化しないことも。

[POINT] 夜遅くまでかかることも
羽化の時間は11時くらいまでかかるので、小さい子は眠くなってしまうこともよくあります。お昼寝してがんばってみますか?
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↑ ニイニイゼミの羽化。地面から出てきて羽化を済ますまで、幼虫は終始どろんこ。

野外でセミの羽化を観察

大人に余裕があれば、夜7~8時くらいにセミが多い場所に行って、幼虫が地面から出て木を登るところから、枝先で羽化するところまでを観察するのも感動的です。ただ、1匹の羽化には数時間かかるので、子どもは待ちきれないかもしれません。1匹の羽化を見届けるよりは、いろんな幼虫がどう活動しているのかを散策して回る方が飽きません。

キャンプの晩に野球チームの子どもたちを夜の散策につれて行って、次の日の朝、昨日の夜羽化していた場所をのぞきに行きました。ぬけがらだけが残っていて、ちょっとじーんときました。
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↑ 遅くに行くと、翅もきれいに伸びています。夜10時、クモの観察の時に見かけた羽化。

セミの鳴き声日記」をつける

セミは、種類によって出現時期が違うことは書きましたが、鳴く時間帯も、朝・午後・夕方など、いろいろです。森が好きなセミもいるし、住宅地の方が多いセミもいます。
毎日「セミの鳴き声日記」をつけて、鳴いているセミの声を記録するのはどうでしょう? 朝・昼・晩と、記録する時間を決めて、庭や公園など、近場で何か所か決めて観察。

子ども向けのセミの本

↓ ぬけがら探しのやり方や、セミの識別方法が、マンガと写真でわかりやすくまとめられています。
どこにいつ探しにいけばいいのか、子どもにもわかりやすい説明。
小1から読める内容ですが、中学年以降でも役に立ちそう。下手な図鑑よりも、かなり実践的ないい本です。
追記(2019.8.8.)いい本なのに絶版になってしまったようです。図書館にはあるのでは?

mushitomo.hatenablog.com
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追記(2019.8.8.)
セミとわたしは同い年」が絶版になってしまったので、図書館などで入手できなければ、この本で調べものを。

はじめて見たよ!セミのなぞ

はじめて見たよ!セミのなぞ

  • 発売日: 2017/06/08
  • メディア: 大型本
ーーーーーーー 追記ここまで

まとめ方

自由研究は、一応「研究」なので、動機や数的根拠や考察をまとめることが必要だと思います。

わが家の自由研究は、体裁をあまり意識しませんでした。体裁より興味中心でした。ここで興味が膨らむと、本を読んだり、絵を描いたり、いろんなことにつながります。上の子は文章や絵が好きになり、下の子は図鑑やネットで調べるのが得意になりました。

高学年になってからは、体裁を整えることもやんわりと指導しましたが、低学年の頃はとにかく好奇心をあおることができればいいかと思い、興味がおもむくままに夏休みをフルに使って親子で観察に没頭しました。

賞を狙って提出する場合は、きちんとした論理構成でグラフなどを使ってきれいにまとめた方がいいと思います。小学校は内申点も関係ないし、本当に個人的な興味だけに突っ走っていたわが家でしたが…。夏休み後の作品展を見ていると、中学での内申競争を目指して、小学校から体裁中心に仕上げてくる子も多いようです。

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私はTG-4を使用しています。最近新しい機種のTG-5が発売になりました。

追記(2019.8.8.)
この夏、後継機のTG-6が発売になっています。
これだけコンパクトな装備で超拡大した静止画と動画が撮れるので、昆虫観察にはかかせません。

ーーーーーーー 追記ここまで