虫の季節も本番 初夏の訪れを知らせる虫たち
わが街は昨日おとといは夏のような暑さと湿度でした。
(今日は逆に驚くほどの涼しさですが)
ゴールデンウイークを過ぎると、そろそろ虫の季節も本格化。虫好きになってから、こういう蒸し蒸しした日が来ると、「虫が出るぞ~!」とうきうきします。
でも、体力も視力も落ちてきたし、今年は虫見も控えようかと思っていましたが…。
ここ数日夏の虫たちを次々と見かけるようになってきて、やっぱり虫見には行くのかな。今年の虫は(花も)いつもより季節先取りな気がします。
最近出会った初夏を知らせる虫たちのこと、まとめてみます。
普通の人が夏の訪れを実感するのはセミの声なのかもしれませんが、虫が好きな人たちは大体今の時期から忙しくなるのでは?
アカシジミの飛翔
今年の初見は5月12日午後。運転中に目の前をアカシジミが飛んで行きました。脇見運転注意(^^;)
▼ 以前に撮った写真ですが、手乗りのアカシジミ。6月12日夕方撮影。
木の高いところを飛ぶことが多く、近くに寄れたのは貴重な体験。
アカシジミは夕方に活発に飛ぶ鮮やかなオレンジのシジミチョウ。私にとってはゼフィルスの季節の始まりを告げるチョウです。
本州では主として6月から7月にかけて(正確には5月中旬から8月、♀の一部は10月まで生き延びる)年に一度のみ出現し、卵で越冬するシジミチョウ科の1群の25種(日本国内では)を蝶の愛好家はゼフィルス (zephyrus)または略してゼフと呼びます。
年に一度しか会えないこと、緑色にメタリックに輝く美しい種類が多いこと、珍しい種が多いことなどでファンやマニアが多いのです。
チョウマニアの方は5~6月はゼフィルスを追いかけて雑木林に通うようですが、私はいつも偶然出会うのを待つばかり。
アカシジミは時々庭まで飛んでくることもあって、毎年初夏を実感させられます。
クロオオアリの女王
子どもたちが小さかったころは、5月になるとクロオオアリが結婚飛行のために巣穴から出てくるのを楽しみにしていました。
女王アリを捕まえて飼っていると、卵を産んで働きアリが生まれてきます。
今年は、5月17日朝、翅のついた女王が玄関先に止まっていました。
▼ アリとしてはかなり大きめ。
▼ 拡大すると、こんなに貫禄があります。
ムネアカハラビロカマキリの誕生
冬に見つけておいた外来種のハラビロカマキリの卵から赤ちゃんが生まれてきました。5月18日確認。
ムネアカハラビロカマキリは近年日本各地で広がっていて、問題視されているカマキリ。
一緒に置いておいた在来種のハラビロカマキリの卵はまだ生まれる気配がありません。外来種の方が出現が早いと、体格も力も劣る在来種は負けてしまいます。心配。
▼ 孵化後のムネアカハラビロカマキリの卵。
在来種のハラビロカマキリと形と大きさはあまり変わりませんが、色が白と黒のコントラストが強いのが特徴。
▼ 出てきた赤ちゃんたち。
▼ ムネアカハラビロカマキリの赤ちゃん(幼虫)を拡大。
▼ 5月18日夜の野外観察で見つけたカマキリの幼虫。
これもムネアカハラビロカマキリじゃないかと思います。見つけたのはこれ1匹だけ。
初夏になると、草や低木のてっぺんでカマキリの赤ちゃんがスタンバイしているのが可愛いのですが、外国からやってきて在来種を駆逐中のカマキリが第一陣ではちょっと歓迎できません…。
余談ですが、カマキリが生まれると、同時に卵しょうに寄生するカマキリタマゴカツオブシムシや寄生蜂が出てくることが多いのですが、今回はそんな様子はありませんでした。
経験値が少なくて判断できませんが、もし寄生虫がつかないのだとしたら、その点でも在来種より有利ですね。
樹液に集まるコクワガタ
このくらいの時期になると、ドングリの木から樹液が出ているのもちらほら見かけます。
個人意見ですが、樹液が出てもすぐに干上がってしまう場所もありますが、ボクトウガの幼虫がかじって開けた穴から出る樹液は、秋まで出続けています。
ボクトウガは、おそらく5月の第一陣以降、同じ場所で何回も産卵と孵化をくりかえしているのでしょう。がんばれボクトウガ!
▼ アベマキの樹液でバッティングすれすれのコクワガタ。5月18日。
今はコクワとケシキスイだけですが、もう少しすると発酵臭も強くなり、お客さんも増えます。
▼ ご参考に、ボクトウガの幼虫。
あまり見て楽しいものではありませんが、左側の赤い芋虫。
これが木をかじって樹液が出る仕組み。
普段は樹皮の下に潜り込んでいて、めったに出てくることはありません。
イモムシのくせに意外に強気で、邪魔者はオオスズメバチでも追い払います。
昨年の8月中旬夜撮影。
ジョロウグモの出のう
初冬に産みつけられたジョロウグモの卵のうから、5月になると子グモたちが出のうします。出てきた当初の赤ちゃんグモたちは、「まどい」を作ってしばらく一緒に過ごします。
▼ キョウチクトウの茂みにできたまどい。5月18日夜撮影。
これに息を吹きかけると、クモの子を散らしたようにバラバラになります。クモの子だから…。
▼ 上のまどいを拡大。まだジョロウグモらしい模様はありません。
これから夏にかけて何度も脱皮して、秋に成体になります。
▼ ご参考に、秋に卵を産んだ後のジョロウグモ。去年10月中旬撮影。
卵のうを守り続けて死んでいくものもいるし、栄養状態がよければ、別の場所でまた卵のうを作るものもいます。
ほかにも…
今年のように春先にほとんど虫見をしていないと、毎日のように虫見に行っていたころよりも季節の変化に驚かされます。不思議な感じ。
これ以外に初夏を知らせてくれたものたちは…。
ホトトギスの鳴き声
わが街では、初夏になると夜中や明け方に「キョキョキョキョキョ…」と大きな声で鳴き続けます。
正体を知らなかったころは夜中だし不気味に感じました。日中その姿を見かけることもほとんどないのですが、ウグイスに托卵する悪い奴です(笑)
アカイエカの発生
よく見かけるヒトスジシマカよりも早い時期から飛び始める薄い肌色の蚊。
アカイエカ│害虫駆除や衛生管理の株式会社環境コントロールセンター
どういうわけかここ数年家の中に入ってくるようになりました。
初めの年は甘く見ていて徹底的につぶさなかったので、寝室でたくさん飛ぶようになって…。
アカイエカって、夜中に活動する迷惑な蚊で、寝ている耳元で「クーーン」と飛ぶから気になるし、寝ている間に刺されるし、散々でした。
今年は、見つけたら確実にサヨナラしているので、今のところは大丈夫。
小中学校の運動会の練習
生き物つながりで、子どもたちの練習の声や音楽(^^;)
この辺りは5月に運動会があるので、練習の声が聞こえると初夏。
子どもたちや若い人の流行り歌を知らないので、運動会の曲から知ることも多いかも。
ご近所からの苦情が多いせいか、最近は大きな音を出して練習するのは直前だけ。ちょっと寂しいです。
おしまいに
ひとりで虫見をしていると、見る場所や見方もワンパターンになって、新鮮味がなくなりつつあります。
危険な場所や虫や蛇にやられそうな場所、汚れそうな場所には行かなくなって、守りに入るし…。
今年は虫見は控えめにしようと思っていましたが、去年の夏に夜間観察の楽しさを覚えてしまったし、やっぱり行くことになるのかな…。