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子どもが家を離れて寂しい? 空の巣症候群に備える

上の子が上京して一人暮らしを始めてから、久しぶりにママ友に会うと、「寂しい?」と聞かれることが多いです。

特に、ご自身がお子さんを遠方に出した経験があるお母さんに言われることが多いかな。

この「寂しい?」について、ちょっと言いたいことがあるので、今回はそのお話です。

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周りのお母さんたちの反応

寂しい人が多いらしい  

うちに男の子しかいないせいか、私の周りで子どもを外に送り出したお母さんたちは男子を送り出した人がほとんどなのですが、だいたい口をそろえて「寂しい」と言っています。

中には、「引っ越しの手伝いから戻った日に、号泣して涙が止まらなかった」というお母さんもいました。

「空の巣症候群(empty-nest syndrome:エンプティ・ネスト・シンドローム)」という名前もついていて、こじらせると大変なようですね。

空の巣症候群 - Wikipedia

浪人中は言わないで

去年浪人が決まったころは、進学した同級生の母たちから聞かされる「いなくなって寂しいわ~」のセリフにはかなり傷つきました。

先方はまったく悪気はなかったのだろうし、「まだ家にいてくれるのがうらやましい」という気持ちもあったのだとは思いますが。

わが子が志望校がダメで自宅でグダグダしている状況で、お子さんが新生活をスタートしているだけで十分うらやましいのに、「寂しい」とはなにごとぞ!

 

今考えると、心が狭いおばさん。 

寂しいというより驚いた

で、今年実際にわが子を送り出して、どうだったかというと…。

引越の手伝いと入学式を終えて自宅に戻ってから、子どもがまったく音信不通になってしまって、寂しいというよりもびっくりしました。

家事や手続きなどでわからないことが多くて、電話かLINEが来るだろうと勝手に思い込んで思っていたら、全然。

今はGoogle先生とLINEともだちが何でも教えてくれますからね。

自分自身の下宿時代は、親に毎晩電話で3コールする約束をしていたし、頼まれたわけでもないのに、細かい会計報告の手紙を送っていました。

 

それまで家にいた時は、いつ起きて、何時に帰ってくるか、ご飯はどうするのか、誰と遊びに行くのか、花粉症はひどくないか・・・、なんだかいろいろ気にすることが多かったのに、引越をもって、ぷつりと関係が遮断されてしまいました。

その後少しは連絡は取れましたが、「大学はどうですか?」に対して「ふつう」という感じ。

あほらしいので、こちらから連絡するのはやめました。

親子関係は死ぬまで続いて、大学に入ってからも最低限の連絡は来るのだと勝手に思っていました。

あまりにもあっけないので、夫に学生時代のことを聞いてみたり、ネットで検索してみたりもしましたが、世間にも全然連絡しない子は多いみたい。女の子でも。

 

普通は子どもを送り出す準備段階で親が感傷的になってしまうのかもしれません。

今やっているNHKの朝ドラ「半分青い」は、今週はちょうど主人公が東京に行くので親子が涙する内容です。

わが家と状況は被るけれど、私は引越準備や当日作業が過酷すぎて、お母さん役の松雪泰子さんのような余裕はありませんでした。

家族が減って楽になった 

気難しくて偏食な子がいなくなったので、残された家族はなんでも好きなものが食べられるようになりました。

それまでは、上の子が嫌いな食材を料理していると、その匂いがするだけでもトラブルになったり食事自体をとらなくなるので、彼がいない時にしか食べられないものがたくさんありましたが、自由に買い物できて、自由に食べられるようになりました。

洗濯物も大男一人分が減っただけで、すごく楽。

棚にあったお菓子の箱を開けたらすでに空っぽ、ということもなくなりました。

大変申し訳ないけれど、子どもが上京して、私はずいぶん生活が楽になって、肩の重しが取れた感じ。

「寂しい」と語る優しいお母さんたちに、引け目を感じています。

子育てなんて本当に短い

これまでの約20年間、子ども優先で暮らしてきました。(子どもたちはそうは思っていないかもしれませんが)

仕事を本格的に再開しようと準備したこともありましたが、引越やら子どもの受験やトラブルなどで、自分のペースは全然作れませんでした。

子育てしながら、綱渡りのようにして仕事を続けている友人たちを見て、どうしてそこまでして仕事にしがみつくんだろうかと感じていましたが。

 

今になってみると、子育てなんぞはほどほどにして、自分の世界をもっと大切にしてくるべきだったのではないかと思います。

成績が悪かろうが、いい学校に行けなかろうが、そんなのは子どもの自己責任。応援してもらわなくちゃ頑張れない部活なら、しょせんその程度。

自分のことのように感じて悩んだり落ち込んだりして。もっと頑張ればいいと思うのに、私は子ども自身ではないから、怠けているのを見ているだけのもどかしさ。

 

もう一度最初から子育てをやり直したい気持ちもあるし、それとは逆に、仕事を辞めてまで子どもを持つ必要があったのかという気持ちにも…。 

上手に子育てをしてきたお母さんなら、子どもが巣立ってもいい関係を続けられるのかもしれませんが。本当に、なんのために命削ってやっていたのか。

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私の母の心配

 今回上の子を送り出して数日後、実家の母が「桜を見たいから」とわざわざ訪ねてきました。

実家からわが家までは電車で1時間くらい。わが家のそばに八重桜がきれいな公園があって、それを見たくて来たというのですが…。

天気もよかったので、一緒にベンチに座って花見をしてきましたが、どうも私のことが心配で膝が痛いのを無理して出かけてきたようです。

なんと、学生時代に母に送ったハガキや手紙の束まで持参。書いた私自身もすっかり忘れていましたが、赤面するほどの甘ちゃんな内容で…。

 

私が大学入学で上京した時、母は娘がいなくなってしまった喪失感で、ぬけがらのようになってしまったのだとか。毎日うつうつと暮らしていて、ある時、自宅の階段から落ちて骨にひびが入ってしまって…。まさに空の巣症候群。

そんなこと、今までまったく知りませんでした。

その時に母があんまり落ち込んでいたので、母の学生時代の先輩が声を掛けてくれて、同じ職場で働くことになったのだそうです。

当時、私には「あなたが私立になんか行くから、私がこの歳で働かなくちゃいけなくなった!」と悪態をついていました。

今と違って専業主婦が主流で、働きに出るのを恥ずかしいと思う人もいた時代。

「働かせてしまい、ほんとに申し訳ない」と思っていましたが、どうも本当のところは違っていたようです。

 

今回の私が自分と同じように落ち込んでいるんじゃないかと、見に来たようですが、ご期待に沿えずに申し訳ないことでした。

私は寂しさよりも、どちらかというと怒りとあきらめと解放感。

下の子が巣立つ時のために

うちにはまだもう一人手のかかる男子がいるので、落ち込んで寝込んだりするほどの喪失感はありません。

ただ、下の子の高校生活が終わるまで、のん気に構えているとあっという間でしょう。今のうちに空の巣症候群にならないように、手を打っておく必要がありそうですね。

 

ここ数年、体力もなくなって無理をするとその後のダメージが大きすぎるし、普段からあちこち不調だらけ。老眼も進んで、物を見ることが億劫になっています。

好きな庭仕事も以前のように頑張れないし、小さな虫もよく見えず、写真のピントもあてずっぽ。PC作業も長時間はできなくなりました。

更年期の不安定な状態で新しいことを始めるのは、なかなか大変そうです(^^;)

 

50歳前からのココカラ手帖 (Sanctuary books)

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