『アリとくらすむし』 小さな小さな世界が手に取るように見られる本
アリの研究者である島田拓さんの写真絵本です。アマチュア研究者というか、アリ販売会社の社長さんというか…。
アリとほかの虫との関わり合いについて、きれいなクローズアップ写真でわかりやすく説明されています。
すごいのは、ただ一緒にいるところの写真ではなくて、決定的な瞬間の写真が次々に出てくるところ。アリがアブラムシからあまい汁をもらう瞬間や、アリスアブの羽化の瞬間の写真、エサの受け渡しの瞬間など…。野外ではこんな瞬間はなかなか撮れません。飼育されているからこその、強みだと思います。
どんな機材で撮られているのか知りませんが、こんな鮮明なアリ写真は、ほかでは見られないレベルです。
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こんなスペシャルな写真絵本ですが、内容は、小さな子にもわかりやすく簡潔です。虫が好きな子には、新しい世界を広げてくれる絵本だと思います。もっと詳しく知りたい子のために、巻末に「アリとくらすいきもの」のミニ図鑑もあります。
わが子も、昔アリヅカコウロギを見つけてなにか言っていましたが、親の私がスルーしてしまい、申し訳ないことをしました。
1年生と2年生の読み聞かせでも使ってみました。次々と出てくる不思議な生きもののクローズアップ写真に、男子も女子も引き込まれているようでした。終わってから、読み聞かせのお母さんにこの本を見せたら「気持ち悪くて見られない」と言っていましたが…。
写真は基本的にはA4サイズで大きく、文章も簡潔です。
ただ、アリの生態を知らない子が多いかと思い、2年生にはアリの結婚飛行を書いたファーブルの絵本を一緒に読みました。アブラムシとの共生関係は知っている子も多いようでしたが、アリヅカコウロギやアリスアブ、ハネカクシなどは、相当虫好きでないと、実感がわかないかも…。
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アリの絵本はいろいろ出ていますが、アリとほかの虫との関わり合いについて詳しく書かれた絵本は、この本以外には「ありのくらしに大接近」「アリの巣のお客さん」ぐらいではないでしょうか?
ちなみに、島田さんはこの2冊の共同執筆者です。
アリの巣にいる生きものたちの図鑑はこちら。
- 作者: 丸山宗利,工藤誠也,島田拓,木野村恭一,小松貴
- 出版社/メーカー: 東海大学出版会
- 発売日: 2013/03
- メディア: 大型本
- 購入: 1人 クリック: 95回
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ちなみに、著者の島田拓さんは「ありんこ日記」というブログをやっていらっしゃいます。ディープな生きもの(アリ以外もいろいろ)の世界が、美しい写真で見られます。お子さんたちとの虫とりライフも楽しそうです。