『今森光彦の昆虫教室』
昆虫採集のやり方、虫のいる場所(種類別)、標本づくりについて、書かれています。
子ども向けのほかの昆虫採集の本よりも、道具や道具の使い方について、詳しくて実戦的です。
補虫網は、狙う虫によっていろいろ種類があることを紹介。網の振り方も、今森さんご自身が見本を示されています。網で捕まえてからの蝶や蛾を傷つけない持ち方にも触れています。
標本づくりについても、持ち帰って固くなってしまった時の処置方法やバッタの内蔵の取り除き方など、実際にやってみるとぶつかるであろう「困った!」にていねいに対応されています。
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よその子を虫とりにつれて行くと、まず“網の振り方“から教えなければなりません。
せっかく蝶やトンボを捕まえても、ネットインの瞬間にくるっと網を返して、虫の逃げ場を防がなければ、あっという間に逃げられてしまいます。やっと網に収めても、その後の虫のつかみ方次第では、鱗粉や翅がぼろぼろになってしまうことも…。
こういうことは、昔は地域のお兄さんが教えてくれたのかもしれませんが、今は教えてもらえる場もありません。
網の振り方や蝶を指ではさんで気絶させる方法を本で習うのも、ちょっと不思議な感覚ですが、今の子育てには必要なことですね。
ちなみに、私たち親子は、網振りや標本づくりのヒントは、某自然博物館の蝶の観察会で教えてもらい、後はほとんど自己流です。あの観察会に行かなかったら、わが家の蝶とりは、ただの残酷遊びで終わっていたかもしれません。
虫の暮らしと飼い方、観察のしかたについて、書かれています。
とってきた虫たちを、大切に飼って、卵を産ませる方法も書かれています。
“観察のしかた“のページでは、今森さんのフィールドノートの現物が紹介されていて、とても参考になります。
オトシブミが揺籃を作る経過観察、ジャコウアゲハの越冬場所、コガタスズメバチの巣の断面などの手書きのスケッチが紹介され、捕獲するよりも、生態を知ろうという姿勢に好感が持てます。
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昆虫採集というと、「あの虫捕った!やったー!」で終わってしまう子が多いと思いますが、生態を知ると、面白いことがもっとたくさん見つかります。
私はものぐさなので観察記録はデジカメで残して何も書きませんが、今森さんのように手書きでまとめた方が、自分の理解も進むように思います。