虫はともだち

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オオキンケイギクの次はブタナ 茎が長いタンポポのような花

わが家の周辺は今あちこちでブタナが花盛りです。

明るいタンポポのような花が風に揺れてとてもきれいなのですが、たった数年間でこの拡散ぶりにはちょっと驚かされます。

観賞用に植えている人もいたオオキンケイギクが、行政からの指導もあってやっと落ち着いてきたのに、次はブタナが気になります。 

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川沿いに広がるブタナ

ブタナってなに?

タンポポに似た花を咲かせるキク科の外来種です。

わが家の周辺では5月上旬から開けた空き地などで咲き始め、群落になって6月まで咲き続けます。

7~8年くらい前に近所の芝生広場で見かけるようになって、特に今年はあちこちで広がっているような気がします。

個人的には、去年の夏の高温と水枯れが続いた特殊な気候が、ブタナがほかの植物を駆逐する結果になったのではないかと感じています。

 

ちなみに、私がブタナを初めてみたのは、おそらく20年ぐらい前。

「変わったタンポポだな」と思って図鑑で調べたのを覚えています。でも、その後すっかりブタナのことは忘れていました。

 

ご参考に、説明しているサイトを2つ載せておきます。 

ブタナ - Wikipedia

原産地ではハーブとして食用にもされる。現在ではアメリカ大陸オーストラリアニュージーランドなど、世界中に帰化している。日本には昭和初期に入ってきたとされ、北海道及び本州の広い範囲に分布。道路脇、空き地、牧場、草原、農耕地の周辺で生育している。

開花時期は6〜9月頃。外観はタンポポに似るが、ブタナは30〜60cm程度の花茎が途中で数本に枝分かれし、それぞれの頭に直径3cmほどの黄色い花をつけるのが特徴。また花茎に葉は付いていない。葉はロゼット状で裏にびっしりと毛が生えており、根は深い。たくさんのブタナが隙間なく群生し、さながら黄色い絨毯を広げたような光景は美しいが、群生した地域では芝生が枯れてしまうなどの被害も発生するため、害草として駆除されてしまうことも多い。

 

ブタナ / 国立環境研究所 侵入生物DB

1933年に札幌,1934年に神戸で確認,1940年代以降分布拡大

 

近所のブタナ

近所の空き地で、ゴールデンウイーク明けからブタナが満開になりました。その前の時期は、カラスノエンドウがびっしりと生えていた場所。

 

スマホ写真ですが、9時半の様子。午前中が一番きれいです。 (5月17日)

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午後になると、花が閉じ始めます。

▼左が朝9時、右が午後3時。同じ空き地のスマホ写真(5月17日)。

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天気にもよりますが、4時半にはすべてが閉じてしまいます。

だから、夕方しか犬の散歩をしない人なんかは、ブタナの存在に全然気がついていなかったりします。

 

茎が長く、葉は地際にしかないので、花が密集して素敵です。

▼お昼ごろのブタナ。

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たくさんは来ませんが、蜜を吸いに来る虫も…。

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ブタナの咲く風景

 近所でブタナが広がっている場所の写真を撮ってきました。

 

▼道路沿いの空き地に広がるブタナ。(5月19日)

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▼ちなみに、上の場所は今はチガヤが伸びてきています。(5月27日)

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▼水路沿いに長く続くブタナ。(5月27日)

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▼植栽を覆う勢いのブタナ。(5月27日)

こちらはブタナの後はスイバやイタドリがとって代わりそう。

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▼土手いっぱいに広がるブタナ。(5月27日)

日当たりがいいせいか、すでに綿毛もたくさん。

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感じたこと 

こうして見ていると、ブタナは花が咲いている時期は目立ちますが、花の前はカラスノエンドウやスギナ、後はスイバやチガヤ、セイタカアワダチソウなどに主役の座を譲ります。

今年のようにブタナが一斉に広がると、ほかの植物、それもはびこり系の植物たちとの競合がどうなるのか気になります。

 

以前、空き地を埋め尽くすような勢いだったセイタカアワダチソウは、周囲の植物を押さえ込むアレロパシーの効果で、結局自分の首を絞めて自滅し、最近では前ほど立派な(?)群落を見かけなくなりました。

アレロパシー - Wikipedia

ブタナはそのあたりはどうなのかな?

ブタナを詳しく見ると

▼一株から茎がたくさん出ています。葉は立ち上がらず、ロゼット状に広がります。 

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▼抜いてみると、直根が伸びています。

タンポポよりも肉厚な葉で、タンポポよりも簡単に抜けました。

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▼この株は、茎が13本。1本の茎からさらに何本かに枝分かれして、それぞれに花がつきます。

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▼一株の草姿がわかりやすいものがあったので、撮ってみました。(5月27日)

これは駐車場の一角。

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ブタナとタンポポとの違い

「ブタナとタンポポの違いが全然わからない」と言う友人がいました。

葉が立ち上がるかどうか、草丈、茎の色や質感などで、わかると思うんですが…。

ブタナとタンポポの見分けよりも、タンポポ同士の見分けの方が難しいです。在来種のタンポポにもいろいろあるし、在来と外来のハイブリットタンポポもあるそうです。

 

▼まだ寒いころですが、セイヨウタンポポ。(4月8日)

 葉が柔らかく、立ち上がっていて、茎もストロー状。セイヨウタンポポは総苞外片(額みたいな部分)がそっくり返っています。f:id:mushitomo:20190529023905j:plain

 

▼在来種のタンポポ。(4月23日)

保全地区で撮影。近所では見かけないな…。

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外来種はびこり系のきれいなキク科 

外来種のきれいな花が増えすぎて収拾がつかなくなった例を少し挙げてみます。

こんなことにはならないでほしいですが。

オオキンケイギク 

上でも書きましたが、わが家の周辺はブタナが広がる前は、特定外来生物に指定されたオオキンケイギクが問題になっていました。

空き地や川沿いや土手などにかなり広がっていましたが、ずいぶん抜き取り作業が進みました。それでも、まだまだ残っています。

これだけきれいな花が、世話をしなくても土手いっぱいに咲いてくれるとなれば、植えたくなる気持ちもわかります。

 

▼ため池沿いに広がるオオキンケイギク。(5月19日)

これは、意図的に植えていると思います。

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▼道路沿いに続くオオキンケイギク。(5月26日)f:id:mushitomo:20190529021123j:plain

▼川沿いに続くオオキンケイギク。(5月26日)

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環境省と国立環境研究所のサイトを載せておきます。

特定外来生物の解説:オオキンケイギク [外来生物法]

 

九/州地方環境事務所_外来生物対策-オオキンケイギクについて

 

オオキンケイギク / 国立環境研究所 侵入生物DB

オオハンゴンソウ  

子どもたちがまだ小さいころ、長野に避暑に出かけた時、オオハンゴンソウの大群落に驚かされました。

当時は、市街地でもおそらく植えたと思われる群落が、道路沿いやペンションの庭先に広がっていました。

特定外来生物だから、今は多少なりとも減ったんでしょうか。この時期に長野に行くことがなくなったので、わかりませんが。

 

▼針葉樹林の下に広がるオオハンゴンソウの黄色い海。(8月20日

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▼一面に広がる群落。(8月20日

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特定外来生物の解説:オオハンゴンソウ [外来生物法]

 

オオハンゴンソウ / 国立環境研究所 侵入生物DB

  

おしまいに 

在来種によるバランスの取れた空き地や草はらが維持されないと、こうした外来種が真っ先にはびこり始めるのは仕方がないこと。

除草剤で一気に空き地化したり、重機で短期間に丸裸にされた土地が、特に外来種でいっぱいです。

まるで絵の中の世界のように美しいけれど、違和感と不安を感じる景色。

今のこの景色を見る子どもたちは、これを故郷の風景として育つんでしょうね。

 

わが街は、ブタナが駆除対象として抜き取り作業が徹底されるのも、時間の問題ではないかと思います。 

 

 

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