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野球も勉強も諦めない文武両道の公立進学校の選択

わが家の子たちは、どちらもしがない野球少年でしたが、高校を選ぶのは偏差値や校風が基準で、「野球を続けながら大学を目指す」ほどのこだわりはありませんでした。

ただ、同じ中学の子どもたちを見ていると、「野球やサッカーで一流を目指しながら進学校に行く」という進路を選んで、しっかり実践している子もいます。

今ごろになって、野球を続けて筋を通すことも考えればよかったのかな…とちょっと感じています。

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野球に全力、受験勉強も 

本屋さんでこんな本を見つけました。 

「偏差値70の甲子園 僕たちは文武両道で東大も目指す」

偏差値70の甲子園  僕たちは文武両道で東大も目指す

偏差値70の甲子園 僕たちは文武両道で東大も目指す

 

偏差値70越えの公立高校の野球部の子たちが、甲子園を全力で目指して、その後に東大や医学部を目指す文武両道のお話です。

湘南、北野、札幌南、刈谷、国立、三国丘の6校に、実際に著者が通ってインタビューしたもののまとめ。

監督に聞いた話だったり、気になる選手やOBに聞いた話だったり、学校によりインタビューの切り口は多少違いますが、趣旨は「野球も勉強も一流を目指す子どもたち」。高校時代だけではなく、その後どうなったかについても言及しています。

甲子園は無理でも六大学野球を目指すという道もあります。地方にいると、六大学野球(特に早慶戦)がいかに華やかな大舞台であるのか知らない子が多いですが…。

 

公立高校はそれぞれのエリアで立ち位置が違うし、伝統や校風も違いますが、地域性による違いにも触れていたのも参考になりました。

 

最近は、「お母さんが掛かりきりで仕込んで、私立の中高一貫校経由で難関大学に入れる話」はちまたにあふれていますが、公立高校で、それも野球をやりながら難関大学を目指す本は新鮮でした。文武両道の大学受験情報の本です。

 

実際に周りにも部活動を3年生の夏までみっちりやって、難関大学に合格しているお子さんもいますが、そういう子たちの話が本になっているのはあまり見かけません。

大手予備校や塾が大学受験生向けに出しているような合格体験記に文武両道の子たちも見かけますが、生活面までは触れずにサラッと当たり障りのないものが多いですし、なにより、「高校を選ぶ段階の親子」の目に触れることがありません。

 

ちなみに、この本は難点も少々…。

文中でも度々出てきますが、著者ご本人は偏差値50だそうで、ちょっと感覚がずれていると感じる箇所もありました。

文武両道の受験情報に役に立つとは言っても、当然ながら「野球人のための本」なので、野球に興味のない方には辛いかもしれません。

あと、選手たちを実名で出していて、優秀な選手は褒められていて気分がいいかもしれませんが、本人が読んだら明らかに「俺のことクズだって言ってるな」というくだりがあり、配慮が足りないのではないかと感じました。 

 

今回は上の本を購入しましたが、著者は以前にこんな本も出されています。 

山東彦根東済々黌、青森、時習館、佐賀西の6校について書かれています。

偏差値70からの甲子園 僕たちは野球も学業も頂点を目指す

偏差値70からの甲子園 僕たちは野球も学業も頂点を目指す

 

野球と高校選び

私が頑張る野球少年たちを見て来て、簡単に分けるとこんな感じ。

  • 野球はすごいが勉強はなりゆきまかせ
  • 野球はすごいが勉強はまあまあ
  • 野球も勉強も優秀

野球が上手い子は中学では大体硬式のクラブに入りますが、諸事情があって学校の部活で野球をやっていても将来甲子園に行けたら…と思っている子も少なからずいます。

諸事情というのは、部活に入らないと内申が悪くなるからとか、親が忙しくてクラブのサポートまでできないとか、いろいろ。

 

学業成績が悪すぎて野球しか選択肢のない子たちは、全力で野球の強豪私立を目指すしかないようですが、中途半端に勉強ができる子は高校選びも中途半端になりがち。

 

わが家のエリアは、公立の2番手校に「もしかしたら甲子園に行けるかも」という高校があります。今までの様子を見ていると、成績はいまいちだけどそこに行って野球をやりたいという執念で最後に追い上げて合格して野球部に入るという子がちょくちょくいました。

 

私が驚いたのは、最難関校に入れる成績なのに、スポーツを優先して公立2番手の強豪校に行く子がいること。大人から見ると、とても勇気のいる選択に見えますが、信念を持った彼らならしっかりと文武両道を成し遂げそうな気がします。

最近は多彩な子が増えている? 

わが子たちが入った地方の公立高校を見ていると、「部活も勉強も」とか「短期留学も勉強も」などと、中高一貫の私立と比べて格段に持ち時間が少ないにもかかわらず、学業以外のことにも全力投球の子たちがたくさんいます。

話がずれますが、彼氏彼女のいる子が多いのにもびっくり。

残念ながら、野球部は地方予選初戦敗退レベルですが、それでも朝練も夜練も毎日休みなし。

 

親の私自身は…。

当時住んでいた地方では一番難しいと言われる高校を出ましたが、理Ⅲや文Ⅰにすんなり入るような子は、高1のころから勉強一筋の子がほとんどだったし、学校全体が「部活はリフレッシュの手段にすぎない」という感じでした。部活に燃えていた私は異端でした。

大昔に旧制中学だったころは野球部が甲子園で優勝したこともあったようですが、私が入学した時点では既に甲子園は強豪私立が主体でした。

なかには部活に全力投球して3年生になってから受験勉強をしても文Ⅰに合格する子もいましたが、特攻隊という感じではありました。

 

自分がそういう高校時代だったので、わが家の子たちは「野球は中学まで」というのが暗黙の了解になっていましたが、今の子たちは昔とは違ってやりたいことはなんでも挑戦してみる子が多いようですね。

親の立場から見ると

親が助けないと時間が足りない 

学業以外のことも全力投球しようとすると、本人もまさに寸暇を惜しんで勉強するようですが、本人だけの力では時間が足りません。親のサポートが手厚い家が多いように感じています。

高校の部活の応援に行くと、試合の合間や帰りの電車で参考書や問題集を広げてペンを持つ子が多いのに驚かされます。

学校と塾、学校と試合会場などの移動は、本来は子どもたちが交通機関を使って自分の足でするものですが、お母さんによっては専属運転手として全面的にバックアップしています。週に何度も高速をぶっ飛ばすお母さんもちらほら。

 

私が子ども時代には、これほどまでに親が前面に出てサポートはしていなかったと記憶しています。あと、人前であんな風に勉強するのも、恥ずかしくてできませんでした。 

今の時代の受験生の母になるのは、私にはハードルが高すぎます(^^;)

公立高校の情報集めは親次第?

野球を極めて強豪私立に行こうとすれば、強豪私立にコネのあるクラブに入って推薦で入るのが近道で、そのために、小学校高学年になると野球一筋の家のお母さんたちは「どのクラブがどの強豪高校にコネがあるのか」についての情報集めに必死になっていました。

 

ですが、公立高校で野球を続けようとすると(野球に限らずほかの競技も)、なかなか情報集めが困難です。

公立の進学校でも野球推薦枠がある高校もありますが、そういった情報は表立っては出てきません。関係者に聞いたり中学の先生にプッシュすると出てくる感じ。わが子にどうしても野球を続けさせたくて、中学の先生に推薦枠の交渉に行ってねじ込む家もありました。

 

公立は顧問が替わると一気に弱体化するリスクも大きいです。前年に監督が替わったことを知らずに入部して、「こんなはずじゃなかった」と退部した子もいました。

 

野球ではありませんが個人競技に強い子のお母さんは、先輩高校生たちのTwitterを探して、どの高校なら練習条件がいいのか探していました。個人競技だと、個人のTwitterである程度情報が得られます。実名のアカウントの子も多いようですし。

 

ちなみに、野球の強豪私立に入った子たちは入学と同時にTwitterを止めている子も多いようで、禁止されている学校が多いようですね。アホなプライベートを晒さないようにという意味もあるでしょうが、他校から偵察されないようにという警戒心から来ているのかな。

そういえば、今年の夏に守備妨害をやったやらないで本人のTwitterのアカウントが炎上した選手がいましたね。

強豪私立を否定するわけではない  

なんだか文武両道の話ばかりしていて、いわゆる「野球バカ」と言われるような子たちを否定しているわけではありません。

わが子たちの仲間や指導に来てくれた若者の中にも強豪私立の子たちがいて話をすることもありますが、「監督が白と言えば白」といった理不尽な環境で揉まれた子たちには、進学校の子にはない打たれ強さを感じます。

 

自分自身の社会人経験から言っても、大学の体育会系を極めた同僚は出世が速かったですしね。

成長期が遅い子もいる 

わが家の下の子は幼いころから背が低くて、中3になった時点ではクラスで真ん中ぐらいでした。体格的にも野球にはかなり不利。

それが、中学の最後に急激に身長が伸びて、現在も成長中です。

同級生が小6くらいからにょきにょきと身長が伸びている中で、なかなか大きくなれないので、野球でもパワー不足で諦めモードになっていましたが、今なら当時のチームメイトにも対抗できそうです。肩も強くなりました。

 

小さくても甲子園で活躍する選手もいますが、野球やスポーツに重点を置くのなら、やっぱり体がある程度大きくないと不利でしょう。

ただ、成長期が遅い場合もあるのだから、小中学校の時点で小さいからと言って諦める必要はないようです。

 

近所の子で強豪校に入って栄養指導を受けた結果、小太りな青年になってしまった子もいました。身長が伸びずに、横にばかり成長したようです。

また、親が大きくても、結局身長が伸びずに大人になった子もいますし…。

 

高校になって大きくなれるかどうかは、賭けではありますね。 

 文武両道の高校野球を目指す本  

 文武両道を目指す高校選択について書かれている本はほかにもあります。

甲子園のインタビューで「文武両道は二流」と言った監督がいらっしゃったようですが、野球に絞るか文武両道にするかは、本人の選択の自由だと思います。

 

↓ 対象校は、宇都宮(栃木)、丸亀(香川)、岡山城東(岡山)、新潟(新潟)、四条畷(大阪)、川和(神奈川)。

甲子園を目指せ! 進学校野球部の勝利への方程式

甲子園を目指せ! 進学校野球部の勝利への方程式

 

↓  対象校は、長田(神戸)、八戸(青森)、湘南(神奈川)、岐阜(岐阜)、小倉(福岡)、船橋(千葉)。

甲子園を目指せ!  進学校野球部の飽くなき挑戦

甲子園を目指せ! 進学校野球部の飽くなき挑戦

 

 

↓ 公立校以外の記事もありますが、公立校の対象は、 角館(秋田)、須磨翔風(兵庫)、瀬谷(神奈川)、旭川西(北海道)、乙訓(京都)、中村(高知)、八重山(沖縄)、小倉(福岡)、今宮(大阪)、刈谷(愛知)。

 

 地方ごとに状況は違うので、その地方についてまとめた本にも目を通したほうが全体像がわかるかもしれませんね。

 

以前開成高校野球部の本が出て、ドラマ化もされました。これも進学校で野球をする本ではありますが、私としてはあまり参考になりませんでした。話題性を狙った本という印象?。

 

おしまいに 

 わが家は「部活がきつくては勉学に触りそうだから」と考えて、高校について調べる前からさっさと野球はあきらめてしまいました。

わが子たちはどうも超難関大学には手が届かないような気配だから(^^;)、文武両道の高校選びについてもう少し考えてみた方がよかったのかもしれません。

 

上の子は勉強系の部活に入って、それはそれですばらしい経験や仲間に恵ました。野球の子たちが言う文武両道の「文」よりもさらに深い「文」を追求する子どもたちに出会うことができました。

 

下の子は、通学時間が長いからと言って楽そうな運動部を選びました。

楽だと思って入った運動部なのに、なんと、今年はいいメンバーが揃ったようで、今までとは顧問の先生の気合の入れ方が違うようです。「こんなに大変なら、野球部の方が楽だった~」と弱音を吐いていましたが、前向きなメンバーに囲まれると、ついつい闘志が湧いてくるようで、毎日部活と勉強でヘトヘトです。

野球は諦めましたが、結局文武両道な生活をすることになってしまい、今回の文武両道の公立野球の本は手の届かないような野球のスターたちの話ですが、とても参考になりました。

 

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野球の撮り方ガイドブック

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