虫はともだち

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ジョロウグモの網がきれいな季節です クモの巣ダーツの思い出

 

街路樹にかかるジョロウグモの網がずいぶん大きくなってきました。朝日に照らされる時間帯は特にキラキラと輝いてとてもきれいです。

…なんて話をすると、「ぎゃークモ嫌い」「物干し竿に糸がついてムカつく」といってママ友たちに封じ込まれてしまうけれど。でも、やっぱりきれいだと思います。

今回は、子どもたちが小さいころにクモの巣に物を投げて遊んだお話と、ジョロウグモの網についてあれこれ…。

※私は専門家ではなくてただの観察者。個人的に観察してきたことなので勘違いがあればすみません。

ジョロウグモのクモの巣

ジョロウグモの網に雑草を投げる

通園時の朝の遊び 

子どもが小さいころ、雑木林や竹林の脇を通って幼稚園に通っていました。

初めて通園路を案内してもらった時は、都会なのにまさにトトロの世界のような森が残っていて、ここを毎日歩いて通園することに、感動したものです。今考えると、いろいろと権利関係が複雑になって放置されて、地元民たちが通路として勝手に利用していた場所だったようです。

 

竹林の脇の階段は秋になるとジョロウグモの大きな網がたくさん並びました。

いつのころからか、ジョロウグモの網にセンダングサのタネを投げるのが、子どもたちの朝の通園の恒例の遊びになりました。

ジョロウグモはそれほど高い位置に網を張るクモではありませんが、さすがに幼稚園児が触れられる高さではありません。階段だから、ちょうど投げたものが届く高さになっていたのでした。

 

センダングサをご存知ない方のために…。

投げたのは左や上に写っている咲いた後の緑の部分。これがもっと熟すと真ん中の「くっつき虫」になります。

緑の部分をお互いの服に投げつけ合う遊びもよくやっていましたっけ…。

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クモの巣ダーツに喜ぶ  

センダングサの咲いた後は、葉っぱとは違って重みがあるので、ジョロウグモの網のべたべたにうまく引っかかって、子どもたちはまるでダーツでもやるように、網に投げていました。 

 

ちゃんと網の中に投げないとだめだし、強すぎても弱すぎても上手くくっつきません。

長い徒歩登園に子どもたちには休憩も必要で、親たちも「クモの巣ダーツ」をする子どもたちを笑って見守っていました。

ジョロウグモはきれい好き

幼稚園児たちはジョロウグモセンダングサをくっつけたら満足して幼稚園に向かいましたが、親たちは送り届けた後に同じ道を帰ってきます。

クモの巣ゾーンの竹林まで数十分だったと思いますが、戻ってくると、ほとんどの網がきれいになっていました。

 

気をつけて見ていると、ジョロウグモは網に異物がくっつくと、まずは獲物ではないかと確認して、獲物ではないとわかるといちいち網から外しにかかります。

たしかに、網に異物がついていては、重みで網が破れてしまうかもしれないし、獲物が飛んできた時に網があることがわかってしまいます。

 

それまで、恥ずかしながら私はクモの巣というのはただ糸が張り巡らされた邪魔者だと思っていました。「どうしてかわからないけれど、クモの巣に引っかかると糸がべたべたくっついて不快だわ!」ぐらいにしか考えていませんでした。

 

クモ好きになって知りましたが、網を張るクモは1個体が1つの網を張って、網の形や張ってある場所(茂みか樹間か、高いか低いかなど)で、クモ本人を確認しなくても何グモなのかわかります。

ベタベタ成分の秘密

通園仲間の中に農大出身のお母さんがいて、クモの網の不思議について説明してくれました。

  • クモの糸がべたべたなのは横糸だけ
  • 横糸には粘り成分がついている
  • 通りを挟んで網がかかっているのは、クモが風に糸を流して枠糸を張るから

というような話をしてくれたと記憶しています。

すべて知らないことばかりでした。

 

↓ ビジョオニグモの金色の粘球。

クモは網を張る時にお尻の糸いぼから糸を出すのですが、横糸を張る時は糸に粘る成分をつけて出すのだそうです。

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クモの網にバッタを投げる 

 下の子が小学校に入り、クモを本格的に追いかけ始めると、クモによって獲物の捕まえ方が違うことに気がつきました。

 

ジョロウグモは獲物が網にかかると、まず噛みついて、その後ゆっくりと少しずつ糸を巻いていきます。

それに対して、ナガコガネグモなどコガネグモ科のクモたちは、獲物が掛かると近づいて一気に大量の糸をお尻から発射して、最終的には獲物がなんだったのかわからなくなるほど糸でぐるぐる巻きにします。

 

↓ バッタをラッピングするナガコガネグモ

赤丸の部分が獲物に向けて発射した糸。ビニールテープかと思うくらい大量に発射されます。

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下の子は当時は虫漬けで、けっこう残酷坊主だったので、手ごろなクモの網を見つけると、一通り観察した後に、バッタを投げて、ラッピングの様子を見るのを楽しんでいました。

 

残酷な遊びを禁止していたら、私たち親子がクモの習性の違いを知ることはなかったかもしれません。大人の私には考えつかない観察方法でした。

ジョロウグモはこまめに張り替える

ジョロウグモ豆知識ですが…。

昼も夜もずっと網を張りっぱなしのように見えるジョロウグモですが、ほぼ毎晩、円網を部分的に張り直しています。

私が見ていて、今晩は左半分、次の晩に右半分という感じで、半分ずつ張りかえるのが多いようですが、全面張り替えることもあります。

 

網をじっと見ると、網目がきれいな部分とそうでないところが。わかりますか?

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 上の網に色をつけてみました。

ジョロウグモの網の張り替え

 右半分の紫色のところが一番最後に張り直した部分。赤がその前に張り直した部分で、水色がこの中では一番古い部分。

 

毎晩、古くなった部分の網を自分で咬み切って食べています。

↓ これは、右半分を切り取り中のジョロウグモ。 

網をかみ切るジョロウグモ

 

夜の間に取り除いた部分を張り直しているジョロウグモもいるし、朝になってから張り直しているのも見かけます。

 

↓ 朝、網の張り替えをしているジョロウグモ

このクモは左右どちらか半分ではなくて、全面張り替えしているようです。

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↓ こちらも、朝に張り替えをしているジョロウグモ。クモは右の上端に写っています。これも全面張り替えですね。

全面張り替えはクモにとっては負担がかかるので、上の方がかなり省略してあります。

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↓ 上のクモの張りたての網。無傷でピカピカ。

横糸が途切れているのは足場糸の跡。最初に足場糸を張ってから、細かく横糸を張っていきます。

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ジョロウグモのリフォームの跡

ジョロウグモの網をじっと見ると、張り替えをした様子がよくわかっておもしろいです。

栄養満点のジョロウグモは大きくてきれいな網を張っているし、獲物が取れずに栄養不足なクモは横糸が粗めだったり、小さめの網を張っています。

大雨だと円網をたたみます。雨の合間で余裕がない時は粗めの網になったりもします。

 

最近の朝見かけたジョロウグモの網を比べてみます。(9月29日朝撮影)

 

↓ 枠糸を二つのクモが共用して網を張っています。

両方とも、左半分の張り方が適当ですね。左半分は劣化で崩れたのではなく、もともといい加減な張り方だったようです。時間がなかったのか、栄養足りなかったのか。

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↓ 全面張り替えしたばかりと思われるきれいな網。

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↓ 上と同じ場所ですが、こちらは右が古くて飛ばし飛ばしで、左がきれい。f:id:mushitomo:20171002195611j:plain

 

 ↓ 張りたてのようなのに、よく見るとぐしゃぐしゃな網。

栄養が足りなかったり、時間がなかったりすると目が粗い網になりますが、これは、粗いというよりも雑な感じですね。性格なの?

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 ↓ 雑木林の林道をまたいで張られた網。

片側に止まって糸を風で流し、反対側に向けて枠糸を張るそうですが、実際のところは見たことがありません。枠糸は一度張ったら張り直すことはほとんどないので。

 文字通り風任せですね。

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↓ 上の網を正面から見ると…。左半分はぼろぼろ。

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 おしまいに

クモの巣ダーツはクモにとっては負担がかかる遊びです。時間をかけてせっかく張った網が壊れることもあるわけですからね。

 

クモがどんなふうに網を張るのかを観察し始めて、じっとしているように見えるジョロウグモたちも、風や雨などの天候に合わせて一生懸命に暮らしているのを知りました。

そういうことがわかったのも、クモの巣ダーツでクモの存在に気がついたおかげかも。

 

ちなみに、ジョロウグモはいったん張った枠糸の中の円網部分を毎日のように部分補修するクモですが、毎晩新しい網を張って朝には全面撤収するクモもいるし、一度張ったら張りっぱなしのクモもいます。網を張らないハエトリグモのようなのもいます。

 

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