虫はともだち

虫の本の紹介、写真撮影、子育て、いろいろ…

自由研究のネタ探し、どうしていますか?

 小学生のお母さんと話していると、熱心なお母さんは早い時期から夏休みの自由研究の準備に余念がないようですね。

先日も「娘がアリの自由研究をやりたいと言っているんだけれど」と声を掛けられました。そのお母さんは数分で答えをもらえると考えていたようですが、私にアリの自由研究について語らせたら、1時間あっても足りないかも…(^^;) 

最近は「一日でできる自由研究」とか「自由研究キット」みたいなものが人気なようです。(わが子たちのころもそうだったかな…)

今どきの子どもたちは忙しいから短時間でできるものになるのは致し方ないけれど、何かの丸写しをしたり、キットを組み立てるだけじゃなくて、子どもの心に残るようなものができるといいですね。

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わが家の子どもたちの小学校の自由研究は、自然観察や生き物の観察ネタが中心でした。中学は自由研究の宿題はなしで、高校は「論文」なるものを提出。大きくなった今は本人任せで、何をやっているのかも薮の中…。  

自由研究は自由に

自由研究をやろうとすると、ついつい本屋さんに並んでいる学年別に自由研究をまとめたような本を参考にする子も多いようです。

今の時期、こんな感じの本が書店や図書館に平積みにされていますね。

小学生の自由研究 科学編 改訂版 (学研の自由研究)

小学生の自由研究 科学編 改訂版 (学研の自由研究)

 

マニュアル本を使うとお手軽ですが、やり方も結論も最初から分かっているので、研究というよりも写経になってしまいそう。

 

自由研究で賞を狙う人は本気できっちりやった方がいいのかもしれませんが、小学校はまだほとんどの子が「内申点の呪縛」もなくて、格好つけたものを提出する必要はないのだから、自分が疑問に思ったことを自分のやり方で解決するのがいいんじゃない?…と思います。

 

ちなみに、本気で取り組んだ自然観察のお手本が見られるのがこちら。

 自由研究|自然科学観察コンクール(シゼコン)

 「女子中学生の小さな大発見」 

おもしろい本を見つけました。「女子中学生の小さな大発見」という文庫本。

女子中学生の小さな大発見 (新潮文庫)

女子中学生の小さな大発見 (新潮文庫)

 

 私立の女子中学校(静岡の双葉)の理科の先生が、ご自分の生徒さんたちの自由研究のネタをまとめられたものです。「思いついたことを気軽にやってみる」という形で、毎月提出されたものを、1件あたり2~3行にまとめられています。

 

テーマは多岐にわたっていて、人体の不思議に始まり自分の手足、兄弟姉妹のこと。ペットの犬猫のこと。雪、虹、宇宙。アリやカタツムリ。植物や電気、重力…。もう書ききれません。

自由研究の論点は書いてありますが、実験方法や科学的な考察については、ほとんどふれていません。自分で考えてね、というスタンス。

 

読み進むと、大人になった私には「そうだったな~」と懐かしくなる内容もあり、爆笑してしまうおとぼけあり。

自由研究のネタ探しをしたい子は、この中から「自分も解明してみたい」と思うものを選べばいいし、親子で相談するのにも使えます。

 

ちなみに、私は病院の待合室で時間つぶしに読んでいましたが、思わず吹き出してしまう内容が満載で、外で読むには適さない本かもしれません。自由研究にはまったく関係がない人にも、ストレス解消にどうぞ。 無邪気だった子ども時代に戻れます(^^)

大人の対応

ものすごく完成度の高い木工や技術系のお父さんが考えたと思われる化学の実験などが提出されていると、一般人には評判が悪いですね(笑)

私自身もちょっと手を出しすぎたかなと反省していますが、大人が手出しをすることで、子どもだけでは到達できないところまで進めることもできます。

 

図書館に連れて行って一緒に参考図書を探したり、ネット検索を手伝ったり、専門家の大人が集まる場所に連れて行ったり…。

親自身が工作をやったり実験データをまとめてしまうんじゃなくて…。

 

そういえば、また脱線しますが…。

小学校の読み聞かせでセミの羽化の絵本を読んだ後に、「7月下旬の夜はアブラゼミの羽化が見られるチャンスだよ」という話をしました。幼虫を見つけたら持ち帰ってカーテンにつければ羽化が見られると言ったら、「そんなもの家に持って帰ったらお母さんがキャーって言う」とか「うちのお母さんなら、逃げる」「うちは怒られる」などと、セミではなく母親の話で子どもたちが盛り上がっていました。

確かに虫の話をすると「キャー」というお母さんが多いですが、わが子たちが進学校に行ってから交流があるお母さんたちは、そういうタイプが少ない気がします。虫が好きではなくても、聞かずにシャットアウトする感じがないお母さんたちが多いです。

進学校に行くのが善とは言いませんが、大人の感覚では理解不能なことにも耳を傾ける母親でありたいとは思います。

家族で自由研究

わが家の場合 

私が暇人なせいで、わが家は家族総出で自由研究をすることもよくありました。

実際、生き物調査をローラー作戦でやるときなどは、たった一人ですべてをこなすのは大人でも困難です。小学生でも学年が上がると塾通いなどで、本人も時間に余裕がなくなります。

 

上の子が小4、下の子が小1の時に、上の子が尾瀬ヶ原の自然のレポートを書いたことがありました。

実際には、こんな感じの協力体制でした。

出発前に…

  • 母親の私が図書館で尾瀬の自然ガイドを借りまくる。
  • 小4の本人が出かける前にガイドに目を通す。

現地で…

  • 本人がガイドの内容と尾瀬の特性についてすり合わせ。写真撮影。
  • 弟がひたすら生きもの探し。
  • 私が生き物撮影。

帰宅後…

  • 弟が生き物の名前調べ。
  • 私が写真印刷。
  • 本人がレポート作成。

ご存知の通り尾瀬ヶ原は高層湿原で特殊な地形や植生、固有の生き物にあふれた場所です。地形や植生はガイドでなんとかなりましたが、固有の生き物を調べるのには少々時間がかかりました。普通の図鑑には載っていないので。

 

「自由」研究なんだから、個人名での提出ではなく、家族やグループでの提出もアリにしてほしかったと思っています。

一人でやっていては通り一遍で終わってしまいそうなことでも、何人かが関わると、いろんな視点から考えることができるし、なにか新しいことを見つけた時の喜びも倍になります。

研究者も親子や兄弟で 

 ちなみに、かのファーブル先生だって、息子のジュールと一緒に観察をしていたようで、昆虫記の中で早世したジュールに対する想いを書いています。

家族の死を見つめ続けたファーブル | NHKテキストビュー

 

最近読んだ「すれちがいの生態学」の作者である遠藤知二氏も、若い頃の観察はお兄さん(おそらく研究者の故遠藤彰氏?)と一緒に取り組まれたそうです。

 

また脱線しますが、福音館書店の月刊誌「たくさんのふしぎ」に遠藤知二先生が3冊書かれています。日本版ファーブルといった感じの、根気強い観察記録です。このレベルの観察を子どもが実践するのは無理がありますが、子ども向けの本ですから、探求する心を学べるという意味ではとても貴重な3部作だと思います。

 

アカオニグモの網にどんな虫がかかるのかという観察から始まり、獲物をかすめとる虫やクモ、アカオニグモ自体を狙う狩り蜂の話などに続きます。

まちぼうけの生態学 (たくさんのふしぎ傑作集)

まちぼうけの生態学 (たくさんのふしぎ傑作集)

 

クモを狩るキスジベッコウを追うお話。メモを取る間もなく追いかけるので実況中継を録音するとか、クモに印をつけて識別して家系図まで作ってしまう著者の観察ぶりには鳥肌が立ちました。 

クモを狩るキオビベッコウは、幼虫のエサにするためにクモを捕まえて、巣穴を掘ってクモを埋めて卵を産みつけるハチ。ほかのキオビベッコウの獲物を横取りしたり、巣穴を掘り返して卵を食べてしまって自分の卵を産みつけたりしたりのズルをしていたことを見つけ出すというお話。カッコウの托卵の話は有名ですが、これは虫の労働寄生の話。

すれちがいの生態学 キオビベッコウと小道の虫たち (月刊たくさんのふしぎ2017年7月号)
 

どこかの家に集まって 

いい仲間は宝物 

以前、知り合いのお嬢さんが自宅のリビングで夏休みの間毎日のように仲間と研究を繰り返し、中学生のその道の大会で優秀な成績を上げられたことがありました。毎晩夜遅くまで根をつめて頑張ったのだそうです。例年だと、学校の理科室で数日準備しただけで大会に挑んでいたのに。

リビングを子どもたちに毎晩開放したお母さんも立派だし、主体的にお友だちを集めた彼女も立派。塾や部活の合間に時間を作って集まった子どもたちにも脱帽です。

いい仲間に出会うのは、いい師に出会うことよりも有益かもしれません。

ゲームセンター化 

よく「うちはいつでも遊びに来てもらっていいから♪」と言って自宅を開放しているお宅がありますが、ほとんどの家が、ゲームがいっぱいあって、実質ゲームセンターになっています。

わが子にお友だちと楽しく過ごしてほしいという親心なのかもしれませんが、そこの家のお子さんにとっても、呼ばれて行く子どもたちにとっても、「ホームゲームセンター」は百害あって一利なしではないかと思います。

仲のいいお友だちをたまに呼んで、お互いの刺激になるような友人関係ならば、メリットになるとは思いますが。

学校の評価

自由研究や自由工作をどうやって評価するかは、学校により担任の先生のより、違うと思います。

見た目のすごさでいい点数をつけるのではなく、本人がどのくらい苦労したかを見てほしいと、私は自分自身が子どものころから感じていました。

 

以前の記事にも書きましたが、私自身が小4の時に作った「カヤツリグサ科の植物標本」は、ぱっと見はただの草にしか見えないかもしれないけれど、湿地帯に何度も出かけて(カヤツリグサ科は湿地に多い植物です)泥だらけになって20種くらい集め、大人用の植物図鑑を買ってもらって同定しました。アサガオやホーセンカの標本を出した子がいい点数で、私の標本は評価も低く、取り上げられることもありませんでした。

 

子どもが小3でセミの研究をしましたが、あれもなんだか不発でした。

家族総出でかなり手をかけてセミの習性の解明をして、データもまとめましたが、先生の方にどのくらい意味のある研究なのか、理解する知識も余裕もなかったようでした。

 

世間様のお役に立てそうな研究ができたと思ったら、学校に提出用とは別に自然コンなどの外部の機関にも応募したほうがいいのかもしれないですね。

下の子はわが街に限定した田んぼの生き物調べや雑木林の樹木調べをやりましたが、あれなんかは市の公園管理課(実際にあるのか知りませんが)のようなところに提出すれば、自然誌かなにかに使ってもらえたかもしれません。

 

それとは逆に、自分が中学の時の自由課題で、父親が書いた本をほぼ丸写しにしたのに代表で掲示されたことがありました。父親の仕事がよくわかって楽しくできましたが、写しただけなのに申し訳ないような、「先生、見る目ないな」と大人を侮る気持ちが湧いたり…、複雑でした。

今どきはネットも発達して、昔よりももっとコピペが簡単です。見破る側も大変ですね。

ネタになりそうな参考書籍 

テーマを問わず、自由研究の参考になったもの、なりそうなものをピックアップします。私の個人的な趣味に走ったセレクトなので、参考になるでしょうか…(^^;)

今年の研究には間に合わなくても、子ども自身もやりたいことが見えて来るかな…と思います。

 

 小学4~6年の3年間、自宅にできたアシナガバチを観察。ただ見ているだけではなく、落ちた巣をほかの巣に貼りつけて救済してみたり…。ハチの絵もとても上手で、細かいところまでとてもよく見ています。このあとすぐに海外に留学されたそうですが、いったいどんな大人になったのでしょう。

雄太昆虫記―ぼくのアシナガバチ研究所日記

雄太昆虫記―ぼくのアシナガバチ研究所日記

 

 

「クモは種類によって巣の形が違う」と言うとほとんどの人が驚きます。種類によって違う網の形が子ども向けにわかりやすく説明されています。

クモの巣図鑑

クモの巣図鑑

 

 

 田んぼの虫を調べていると、普通の昆虫図鑑よりも専門の図鑑や農業書の方が詳しいことが多いです。これは写真も多く、子どもにもわかりやすい内容です。

減農薬のための田の虫図鑑―害虫・益虫・ただの虫

減農薬のための田の虫図鑑―害虫・益虫・ただの虫

 

 

 取水地から下水が処理されて海に出るまで水道を追いかける話。何のために浄水場やダムや下水処理場の見学に行くのか、事前にイメージができます。

『水道道たんけん』がはじまった! (調べるっておもしろい!)

『水道道たんけん』がはじまった! (調べるっておもしろい!)

 

 

 パンが趣味の人が、「酵母は実験みたいで楽しい」と話していましたっけ…。 

夏休み! 発酵菌ですぐできる おいしい自由研究

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 私の弟は、子どものころ時計を分解するのが趣味でした(^^;) 

  

mushitomo.hatenablog.com 

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おしまいに

なんだか脱線ばかりで、自由研究のネタが見つかるかと思って読んでくださった方にはお詫びします(^^;)

 

わが子たちは自然関係の自由研究をあれこれやってきたのでそちらの方面に進むのかと思ったら、全然関係ない進路を選ぶようです。

中高生になると、虫なんかにとらわれているとオタクやら陰キャラやら言われて、友だち関係の中で低くみられるのを恐れている? そんな人の眼なんか気にしない若者になってほしかったけれど…。