思春期の子を持つ親に響く!辛口で深刻な家族ドラマ おすすめ6選
引きこもりだとか家族の闇だとか、思春期の子を持つ親として、見ていて切実な気持ちにさせられるような辛口で泥沼な内容の家族ドラマを集めてみました。
バイオレンスはなくても、自分が親として身につまされたり、わが家は、わが子は、大丈夫なのか不安に駆られたりするドラマ。
いわゆるホームドラマとは違う暗い世界。何が幸せなのか、深く考えさせられます。
家族ゲーム
本間洋平氏の原作をテレビ化・映画化したもの。いろんな俳優さんが演じています。
ネットで見つけた「東大合格100%の天才家庭教師」という触れ込みでやってきた桜井翔くん演じる吉本荒野が繰り広げる異常な世界。
引きこもりの中学生の弟を荒っぽいやり方で引っ張り出し、表面的には波風立てずにやっていた沼田家の闇を明らかにして、家族再生を図る。
やり方が普通じゃないので、見ている方は「???」の連続。
最後に、吉本荒野先生の闇が明らかに。
これは、ストレートな「勉強がんばろう」という受験ドラマではなく、家族を一度ぶち壊すことで、引きこもりの弟や優等生だけど裏がある兄、母親の無関心、父親の浮気など、家族全員の問題を解決しようとする話。
思春期だから手に負えないと思って諦めている自分が、母親として、痛いところを突かれるドラマでした。
1983年6月、松田優作さんが吉本荒野役を演じた映画版もあります。
松田優作版のレビューはこちらで見られます。
それ以前に、鹿賀丈史版(1982年11月テレビ朝日)、長渕剛版(1983年8~9月TBS)のテレビドラマも放送されています。
本間洋平氏の原作はこちら。
家族狩り
天童荒太氏の原作をテレビ化したもの。
都内で凄惨な一家心中事件が次々と起きて、関係者の児童心理司役の松雪泰子、松雪泰子を犯人と考える刑事役の遠藤憲一、巻き込まれていく教師役の伊藤淳史らが関わっていく。誰が犯人なのかわからない状態で、不気味な事件が続く。
心中事件が起きる家庭は、虐待やDV、引きこもりなど、進むべき道を見失った子どもとわが子の扱いに絶望した親たち。現場に残っていた松雪泰子のシャンプーの香り。
今思い出すだけでも衝撃的な内容でした。私は録画で見ていましたが、見ているのがつらくなっていったん停止して、気を取り直して続きを見ることもありました。
思春期の子どもを持つ親に、見てほしいドラマです。年頃の子どもの悩みって、表立ってほかの人に相談したりしないもの。自分や家族の中にある心の闇をえぐり出すようなドラマです。
残酷な内容だったし、反抗する気持ちを煽ってしまいそうで、子どもにはとても見せられませんでした。
天童氏は、文庫本が出るにあたり、単行本の内容を大幅に書き直したそうです。
別の著者ですが、同じような親子問題のこじれをまとめた本があります。
精神障害者移送サービスの会社の運営をして、子どもたちの自立支援もやっている押川剛氏のドキュメンタリー事例とそこからの考察。あまりにも強烈な事例に、読んでいて身じろぎできなくなります。
夜行観覧車
湊かなえ氏の原作をテレビ化したもの。
高級住宅街ひばりケ丘に下町から引っ越してきた遠藤家。お母さん役は鈴木京香。お父さんは雨上がりの宮迫、一人娘は杉咲花。
杉咲花は中学受験に失敗して、元いた下町の中学に通いますが、引っ越したことで幼馴染からのいじめに遭い、家庭内暴力。母親の鈴木京香は、高級住宅街の主婦らしからぬスーパーのパートに出て、ご近所との金銭感覚も合いません。
仲良くなったご近所の高橋家は絵に描いたように幸せなお医者さん一家。母親同士の交流が始まりますが、高橋家で父親が殺される事件が。
行き詰った遠藤家で母親が娘を殺してしまいそうになるシーンは強烈です。思春期の親子の救いようのない泥沼。
殺人事件が起きた高橋家も、娘の暴力が止まらない遠藤家も、自治会のセレブ婦人のお宅も、それぞれにみんな人に言えない闇が。
AIさんの歌う主題歌がとても印象的でした。
原作は、最初に犯人がわかってから話が進みます。
14才の母 愛するために生まれてきた
私立中学2年生の女の子が、進学校の中学3年の男の子との間の赤ちゃんを産む話。
志田未来扮する女の子が、とても透明感があって一生懸命に苦しみながら出産に向かっていく姿に打たれます。相手役はイケメンの三浦春馬。
志田未来のお母さん役の田中美佐子は、腹をくくって、娘のことを見捨てたり追い込んだりせず、温かくしっかりと見守ります。三浦春馬の親(室井滋)は、やり手実業家のシングルマザーなのですが、事業で追い込まれたりもあって、この出産に対しては全く無力。強がったり追い込まれたりする姿が印象的でした。
「ヤンキーのできちゃった」というイメージは全然なく、繊細で感動的なドラマでした。
アイシテル~海容~
伊藤実氏によるマンガが原作。
小学校5年の少年が小学校2年の少年を殺してしまう事件が起きる。2人ともどこにでもいるような普通の家庭の子。
殺人を犯してしまった子のお母さんは、どうして事件が起きてしまったか理解できずに苦しみ、子を失った方のお母さんは、ランチに出かけて目を離してしまったことを後悔し、相手を憎みます。
それぞれの家族が、事件をどう受け止めて、どう立ち直ろうとしていくかが丁寧に描かれています。
加害者の母の稲森いずみさんがとても切なく美しくて、涙を誘いました。
被害者の母の板谷由美さんは、「八日目の蝉」で演じた赤ちゃんを奪われて悪態をつく母親役と重なって、俳優ご本人は悪い人ではないんだと思いますが、なんだか嫌悪感を感じてしまいました。
何でもないごく普通の家庭が、ある日突然深い苦しみの闇に突き落とされる話は、「もしかしたらわが家も」という気持ちにさせられて怖かったです。
子どもたちが大きくなってからの続編はこちら。
原作のコミックはこちら。
原作のコミック続編はこちら。
下流の宴
林真理子の原作をテレビ化したもの。
医者の家に生まれて、自分もきちんとした家庭を作ろうとしてきた母親役に黒木瞳。
上の娘は自分は努力しないでセレブ男を捕まえるのに一生懸命で、弟は医大に行くはずだったのに、フリーターで、おまけにフリーターの女の子と結婚すると言い出すしまつ。
セレブとか家の格とかを生きる拠り所にしている女の人って見かけますが、それだけにすがって生きることの滑稽さを描いたお話。
余談ですが、原作者の林真理子さんは、デビュー当初はたたき上げのイメージでしたが、いつの間にか「セレブで上から目線の奥様」になっていましたね。
自分の小説が売れて自力で有名人になったのに、なぜか上流の奥様ライフが売りになっていたような…。
お嬢様学校出身でもないし、そういうのって、自分自身が苦しくないのかな?
おしまいに
以上、自分が見た中でドロドロの家族ドラマをピックアップしてみました。
子どもが小学生後半以降になってくると、親が一生懸命に接しているつもりでも、どうしようもないことが起きてしまったりするものです。
ドラマを見て予習してみたり、現実との共通点を見つけて悲しんでみたり…。
私は、だいたいどのドラマも録画をして見ていました。(CM飛ばしで倍速(^^;))
あまりにも心が苦しくなったり、残酷すぎたり、悲しすぎたりして、そのまま見ていることができないシーンもありました。
このドラマをご覧になられたみなさんは、どんな感想をお持ちになりましたか?