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虫はともだち

虫の絵本や図鑑の紹介、写真撮影など、いろいろ…

『どんぐりの穴のひみつ』 ドングリの中にいるのはどんな虫?

前回の記事で、拾ってきたドングリの穴の有り無しを調べたというお話を書きましたが、ドングリにつく虫について、大変詳細な観察をまとめた本に出会いました。

『どんぐりの穴のひみつ』という本です。 

児童書なのでサクサク読めますが、ドングリの穴に疑問を持った大人にも是非お勧めしたい内容です。

どんぐりの穴のひみつ (わたしの研究)

『どんぐりの穴のひみつ』の概略

著者は高柳芳恵さん。図書館などで子どもたちに絵本の読み聞かせをしつつ、自然観察にも力を入れていらっしゃいます。

 

小学三年生のお嬢さんと遊んでいたドングリ独楽から出てきた幼虫をきっかけに、ドングリから出てくる虫について、長期間にわたって様々な角度から調べたという内容。

秋だけではなく四季を通じてドングリを採集してその中身を確認し、ドングリから出てきた幼虫を飼育して、成虫になるのを確認するだけでなく、成虫がどのように産卵するのかまで見届けています。

この本を読んでいると、たった一日ドングリを拾ってきただけで、ドングリにつく虫を解明しようとしていた自分が恥ずかしくなります(^^;)

主な内容 

詳しい内容は本を見ていただくとして、さわりだけピックアップします。

ドングリの穴と幼虫

観察の結果、丸い大きな穴は脱出口だとわかる。

「脱出口の数=脱出した幼虫」ではなく、ズルをして、すでに開いている穴から出てくる幼虫もいる。

ドングリ餅を作るために10キロものクヌギのドングリをむいたら、一つに入っている幼虫は意外に多くて、6匹以上入っているドングリも。最高記録は14匹!

ドングリには、「幼虫が入り込んだ小さい穴」も開いていて、よく観察していると、小さな穴にもいろんなパターンがあることがわかる。

シギゾウムシを飼う 

雑木林の土を掘ってもなかなか幼虫は見つからないので、ドングリから出てきた幼虫を瓶に入れて飼ってみる。

地中に土まゆを作って、その中で暮らす。羽化するまで1年から3年かかった。

シギゾウムシの産卵

時期によって、ドングリに産卵をする場所が違うことを発見。

ドングリがまだ未熟なうちは、殻斗(帽子のような部分)に産卵し、生まれた幼虫が自分でドングリに入っていく。熟したドングリには殻(カラの部分)に穴を開けて産卵する。

ハイイロチョッキリの産卵

ハイイロチョッキリは、ドングリに産卵するとそのドングリの枝ごと「チョッキリ」と切り落とすゾウムシの仲間。

ハイイロチョッキリの産卵は、殻斗を貫通して殻に卵を産みつける。卵を産んだ後に、殻斗の表面の毛を削り取って穴を埋める。

さらに、ハイイロチョッキリのお母さんは穴をあける時に出たドングリのクズを食べる。飼育ケースに落ちた糞や木くずの量を見て、著者が気がついたのだそうです。

ハイイロチョッキリの幼虫も土の中で土まゆを作る。こちらは1年で羽化する。

ガの幼虫

ガの幼虫は、シギゾウムシやハイイロチョッキリと違って細長いイモムシ。

ガの親が、ドングリの殻斗の上に丸い透明シールのようなものに包んだ卵を産みつけて、幼虫はドングリのお尻の部分から小さな穴を開けて中に入るのを観察。

ドングリに入る蛾は何種類もいて、産卵場所やドングリに入る場所もさまざまで、1つのドングリに2種類の幼虫が入っていることもある。

ゾウムシたちと違う点は、ドングリに潜り込んだ後に穴からフンを出すこと。シギゾウムシとハイイロチョッキリは、フンはドングリの中から出さない。

シギゾウムシは粉のようなフン、ハイイロチョッキリは金魚のフンのような細長いフン、ガは大きくて丸いフンを出すのだそうです。

寄生バチ

自分はドングリに穴を開けずに、中にいるガの幼虫に寄生する虫もいるそうです。

キクイムシ

夏の終わりに成虫がドングリに穴を開けて中に入り、卵を産んでそこで暮らし、生まれた幼虫はドングリを食べて成虫になって冬を越し、翌年ドングリから出るという生態の小さい甲虫。

虫こぶ

私は個人的には、これが一番驚きだったのですが…。

ドングリの内部(外からは見えない)に虫こぶを作る虫もいるようです。タマバチという小さハチが産みつけた卵が孵り、ドングリの中で虫こぶを作って育ちます。

感想

小さいドングリの中で、これほど小さな虫たちの世界が広がっていることに驚かされましたが、まだまだ解明すべき点が多く残されています。

私の要約文では伝わりにくいかと思いますが、上記のことがらを、全て実際に自分の手で採集したり飼育観察して解明された著者の地道な努力には感服します。

ドングリの虫を解明したい人は、とりあえずこの本に従って観察していけば近道です。子どもにもわかるように平易な文章で説明されています。

 

文章から拝察すると、著者は昆虫観察の基盤がきちんとできていらっしゃる方のようで、フイルムケースで飼育個体を個別に管理したり、実体顕微鏡で細部を確認したり、マクロ写真やスケッチでの記録も残されています。

初版が2006年ですから、当時はマクロ写真を撮るには一眼レフとマクロレンズが必要だった時代です。(今は手軽にコンデジでマクロ写真も撮れますが…)

 

私が購入した本は「2015年12月3刷」とあるので、何かと廃版になりがちな昆虫観察本ではありますが、順調に売れているようです。小学校の総合の授業でドングリ拾いをするときにも、この本があれば子どもたちの興味も深まると思います。

ドングリからイモムシが出てきて、先生がキャーッと腰を抜かしているようでは、なんともかっこ悪いと思います。(実際にはそういう先生は多いですね)

 

これからぼちぼちドングリにつく虫を調べようと思っていた私ですが、先制パンチをくらわされた気分です(^^;) 

 

どんぐりの穴のひみつ (わたしの研究)

どんぐりの穴のひみつ (わたしの研究)

 

 

 

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