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虫はともだち

虫の絵本や図鑑の紹介、写真撮影など、いろいろ…

『趣味からはじめる昆虫学』 一味違うアマチュア昆虫観察者への指南書です

今回は書評です。

趣味で自然観察を始めて、どんどんはまってしまう人たちがいます。観察の対象は昆虫だったり野鳥だったりさまざまだと思いますが、この本は、昆虫の観察を始めて、研究者の道に踏み込んだ方による、後続の人たちに対する指南書です。

好きなブログで少し前に紹介されていて、店頭で見かけたので手に取ってみました。想像以上に私が好きなことばかり書かれていて、即買いしてしまいました。

趣味からはじめる昆虫学

 

著者の方々 

4名の方の共著です。それぞれの方のHPをリンクしておきます。

 

熊澤辰徳氏(大阪市立自然史博物館外来研究員)

知られざる双翅目のために - Information on Diptera of Japan

原有正氏(昆虫写真家)

ムシをデザインしたのはダレ?

島田拓氏(アリ販売・研究者)

AntRoom アントルーム|蟻について語ろう

吉富博之氏(愛媛大学ミュージアム愛媛大学農学部准教授)

Water Beetles of Japan

もくじから

概要について、本の目次を抜粋します。

 

1.昆虫研究への誘い

2.昆虫研究に関わることを考える

3.昆虫を観察する

4.昆虫を採集する

5.昆虫を撮影する

6.昆虫標本を作成・同定する

7.昆虫を飼育する

8.見つけたことを発表する

 

本の概要 

地球上で名前のついた生き物は約175万種ですが、昆虫は約100万種もあって、半分以上が昆虫だそうです。

だというのに、まだ名前のないものを含めて、昆虫は地球上に推定で500万から1000万種。まだまだ未知のものが多いし、生態も謎だらけ。

昆虫の研究者は在野の研究者が支えていて、有名なファーブルも在野の研究者の一人。誰にでも新発見のチャンスがある。

というお話から始まって、昆虫とどうかかわっていくのかを各分野の専門の方々が丁寧に語っています。 

 

A4サイズソフトカバーで160ページ。よくある解説本と比べると、テーマごとの説明がとても詳しく、カラー写真つきで文字数も多めです。

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↑ 著作権に抵触しないように、ちょっと一部だけご紹介。

マチュアの観察者に向けた本

子ども向けの昆虫採集の本や大人のマニア向けの本、昆虫の図鑑などは今までもたくさん出版されていたと思いますが、趣味でやり始めた大人やこれから極めようと思っている大人向けの学術的な研究に踏み込んだ内容の本は、私は見たことがありません。独特な切り口だと思います。

子どもの昆虫観察本とは違って、「ターゲットを絞った方が成果が上がる」「観察のアプローチの選び方」「観察方法」「新種を見つけたらどうするか」など、専門学部の研究者ではない大人向けならではの視点で書かれています。

 

会社の激務が一段落したおじさん世代のちょっと優雅な趣味本かと思っていましたが、私のような者から見たら、かなり実践的で攻めている内容だと思います。

昆虫の撮影技術が詳しい 

個人的には、撮影技術のところが一番気になりました。「こんなことまで教えちゃっていいの?」という細かい点まで、写真つきで解説されています。

一眼レフや特殊なレンズを使用した撮影方法だけではなく、私のようなお手軽マクロ撮影についても言及されており、そうしたお手軽人もさらにもう一歩ステップアップできそうなテクニックも載っています。

私の愛用のカメラが2つも紹介されていたのも、個人的にうれしいポイントでした。

小さい虫を撮る時に、フラッシュを上手に調整できるかどうかは重要です。そのあたりの詳しい説明もあります。

 

昆虫関連のブログを拝見していると、確かに未知の虫や未知の生きざまについては、最近のカメラやビデオ技術の劇的な進化もあって、アマチュアの方々がたくさん活躍していらっしゃいます。

自分で観察していて感じますが、もう人の目だけで観察する時代は終わったのを感じます。スーパーマクロ写真や動画を自宅で再生すると、野外では気がつかなかった発見が、私のような低レベル観察者にもたくさん見つかります。

この本は、そういう私の漠然と抱いていた印象を、具体的な実例を並べながら解説されている本でした。

昆虫学のガイドでもある 

昆虫学を極めるという概念的なことに終わらずに、採集道具や採集に適した場所、昆虫の不思議な生態についての説明も書かれています。

私がアマチュア観察者として、諸先輩に教えてもらったり、ネットで調べたりしてきたことが、この本にはさらに具体的・詳細に載っています。

おしまいに

子どもと試行錯誤で虫とりを始めたころにこの本があったら、もっと効率的に動けたのではないかと思います。試行錯誤するのが楽しかったという気もしますが(^^;)

 

この本で影響を受けて昆虫観察を極めようという方も多いかもしれませんが、既に片足を突っ込んでしまっている人が、回顧的に楽しめる、「昆虫観察のあるある本」でもあると思います。

 

この手の本はなかなか一般受けしないのか、わりと短期間で廃刊になってしまうことが多いです。全国の図書館に置いてほしい本です。虫好きな大人のみなさん、発売停止にならないように買い支えましょう(^^;)

 

趣味からはじめる昆虫学

趣味からはじめる昆虫学